田舎の夜

UTAUUTAU*1

墓の中でも聴いていたい音楽、そういう音楽にこの先どれだけ出会えるだろうか。

 外界に散りばめられた輝く何かを手に入れることは、幸せを感じる方法としては手軽すぎる様に思う。が、何年経っても手に入れた当時の輝きは失われず、或いはむしろ時の経過と共に輝きが増すものは確かにあり、そういうものとの出会いは、幸せと表現する以外にうまい言葉が見つからない。
 そういう風に感じられるものを既に手にしているとすれば、今は分からないが年を重ねるにつれ幸せの数や度合も増す、ということになる。毎年一つ一つ年を取っていく事もそう満更悪くない、という気になった。
 どう足掻いてもきっと、墓の中には何も持ってゆけぬ。今ここで、様々に変化する昼の光を、光を内包する夜の闇を、散りばめられた何かを、両手いっぱいに抱いて過ごしたい。
 ただ、手軽に手に出来る細々としたものを、これを手にすれば幸せになれる、と勘違いしてはいけない。幸せを感じるのは、手にした過程でも瞬間でもなくて、手に抱き胸に抱き徐々に自分の日常に加えていってから、ひょっとすると失ってからという場合もあるかもしれない。

*1:DISC1のみ。2枚組の方は、教授のピアノソロ集DISC2も入っている。個人的にはDISC1だけで感無量。