終わりと始まり.

物思いに終止符を打とうと、例の赤い観覧車に乗った。物思いが過ぎて万が一泪が出たとしても、誰にも迷惑をかけずに済む場所は、自室と御手洗等の個室の他はここしか、その時思いつかなかった。
スーベニアの意味合いや雰囲気、以前の強烈な「恋慕」(勿論観覧車に対する)なんかは全く考慮に入れずに、単に前述通りの単純な思いつきで乗ったまでなのだ。が、帰宅後搭乗の半券を、整理の為に手に取ると、しっかり我が誕生日の日付と半券を購入した時間が印刷されているのを発見した。
単純作業のはずだったのに、しっかり記念品らしきものが手に残ってしまった。誰と何人で乗った、とは書いていないのに、雨の気配と共にその誰かの気配を、しばらくの間半券は頑固に纏い続けるのだろう。
ちっとも終わりぢゃない。自分の事を思えば、今日これから始まるところだ。