2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

何処かへ行くもの.

大学の付属図書館の入り口付近に、艶々した毛並みの白黒猫が数匹いて、ある程度近づいても逃げない。購買部から買ってきたラムネの袋に目は釘付けになっている。面白いからひらひらと動かしてみると、物欲しげな顔をしたので、あえてそこで無視をして去る。…

正しい誰彼.

昼間はきちんと起きていて、大学に行き作業をする事、と決めた第一日のスケジュールをこなしに出かける。が、提出すべき事務書類の一ヶ所に押印が欠けていた事に気づき、大学のある古都から地元に一時間強かけて帰宅し、書類を仕上げて又一時間強かけて大学…

芝生の上で舞う喋喋.

日蔭で猫が眠たげに寝転んでいるところを観察していると、猫から挨拶(ではないのかもしれないが、この猫は愛想が良い奴だから、と勝手に決め込んでいる)をされたので、挨拶しかえしすと、もう一声、にゃ、と云ってくる。会話だろうか。 - 庭の樹に毛虫やら…

where are you goin’?

「太陽」という映画を観に行く。敗戦決定から玉音放送までの昭和天皇の生活を描いた映画である。静謐さと、天皇役のイッセー尾形の演技が際立つ映画、と批評等に書いてあったが、観てみると画面の中の「そのお方」しか見た事がないが多分物凄く似ている。佐…

where are you from?

陽の光がすっかり秋めいている。夏の激しく眩い光とは違い、どこか落ち葉の色が混じったかのような色を感じる。確実に冬に近づいている。大学構内の木々はここぞと云うかの如く、物凄い勢いで葉を散らしている。円陣を組んで何かの打ち合わせをしている一群…

何とかする、の何とか.

中間発表への準備は何とか間に合い、只管読み上げるという方式の発表に臨む。自分くらいはプレゼンテーション様の発表をしたいと思っていたが、結局時間がなくだらだらと読み上げるだけの従来式に甘んじてしまった。こんなレベルは院生として恥ずかしいので…

健気な身体と怠惰な思考.

卒論提出直前に似た生活が舞戻ってきた。カフェインで生きている。明日から大学に通う生活が再び始まるので、眠気覚ましを二瓶買うついでに、自分用にしている、少しだけ値の張るコンディショナーを買い足した。暫く放置してあった髪にはトリートメントの方…

こういうのを、だらだら、と云う.

寝台で、論文をお腹の上に置いたクッションの上に広げて読み、そのまま横に身体を倒して読み、腕の間に挟んだクッション越しに読む。立ち上がって椅子に座って時々回転しながら読み、椅子の背をぎしぎし云わせながらふんぞり返って読む。集中している時の倍…

図書館の虫.

色々なジャンルを聴く事が出来る便利なNHK-FMで、クラシック番組を聴きながら、うとうとし出すと気がつけば夕方になっていた。贅沢過ぎる生活だが、これでは本能による作業しか出来ていない。文化的生活はいつも、睡魔によって持ち去られる。支配力の強い睡…

玉葱と桜海老のかき揚げ.

お世話した人々をさっさと送り出し、チェックアウト作業をして帰宅してきた。あら、帰るの、という視線を背中で浴びたが、論文の発表が近いだけに一日練習にはどうしても参加出来ない。しかし帰宅後即行作業を、と思っていたが、昨日とその前の疲れが大型の…

一生懸命空回り.

楽団の合宿に参加する。13時から22時まで練習、椅子の質が悪くお尻が痛くなり、前日溜め込んだ眠気に21時過ぎから襲われ地獄の思いをする。腰を痛めたという師匠が、時々悲鳴を上げておられた。そして次第次第に顔が赤くなっていく。御飯にしましょう…

She loved gin.

授業の為、大学へ行くが休講、空いた時間に所用を済ます。買い物欲やその他の欲は近頃抑制され気味の一方で、食欲だけは元気で困る(ただし緊張状態にある時は、食欲も完全に消える)。人がいる場所と同輩のいる研究室は意外に悪くなかった。色々な人がいる…

首と肩が動かない.

この猫の顔は私のそれに似ている、と或る時画面に写る猫を観察していてふと感じた事があったが、観察を重ねるうちに、大抵の日本猫及びその雑種に私の顔の造作は似ているらしい事に気がついた。鼻から唇までのあたりが猫、と好きだった人に云われた事が、今…

おあずけは嫌よ.

今年の春に生まれた兄弟猫二匹が、日向でくっついてどこかを見ていた。最初の夏を無事生き延びた様だ。猫が伸びている格好は、まさに、伸びている様に見える。 - 修論の「し」や「ろ」という音に対して緊張し過ぎて、朝食と昼食が喉より先に通りそうになかっ…

無眠草.

頭を使わない単純な打ち込み作業をしていたので、ようやく音楽を聴く時間が出来た。昨日から聴きたかったバッハの無伴奏チェロ組曲を聴き、それらが旧約聖書だとすれば新約聖書的存在であるベートーヴェンのチェロソナタも聴く。心の在る音楽。 眠い時期なの…

秋が虚しい.

先日読んだ太宰治「嘘」の表紙を見つめていた。黄ばんだ紙の空白に、嘘、という一字が浮かんでいる。ひどく寂しそうにも、潔くも、美しくも醜くも見える。ひょっとして、嘘、という気になって(自身の存在やら生活について)、自分でも真っ白なところに、嘘…

そら飛ぶ秋刀魚

秋の夕暮れは素晴しい。夏の宵とはまた違った良さがある。そらの色と高さ、空気が良い。歌に詠みたくなる気持ちも理解出来る。 秋の夕方に身を置いていると、食いしん坊は栗御飯が食べたくなる。毎年祖母が作ってくるのを期待しているが、今年は叔父から送ら…

砕けて浮いた卵の黄身.

春に生まれて暑い間暫く見なかった猫が、成長して寄り合い場所にやってきていた。健康そうで安心する。他の猫にくっついてしなやかに手足を伸ばし寝転んでいる。 - 出歩いている時間は相変わらずないが、同輩のよしみと仲良くしてもらっている義理で(と書き…

頑固者の手仕事.

便箋と揃いの封筒と、切手を買い置く大切さを知った。切手は、気に入ったものは見つけ次第シート購入しておくのが良さそうなものだ。咄嗟に見に行っても趣味に全く合わないものばかりで、閉口する。 - 茹で具合が好みに合ったパスタを出す店で昼食にするが、…

作業机の上.

師匠からお借りした教則本を、一部コピーして糊付けし製本する事に、夜中を費やす。アール・ヌーヴォ飾り枠の図案集から、表紙の為にひとつ選んでコピーをかけ、それに合うフォントを探して枠に貼り、更にコピーする。こういう作業は本当に好きなのだな、と…

自分に苛々すること.

枕元で震えた電話を開けてみると、友人から「愚痴りに泣き言いきなりごめんね」というメールが入っていて、おやおや朝からこれはおおごと、と布団の中で読む。こういう場合、正当な意見や批判を返しても意味がなく、しかし会いにいって愚痴を聞く時間も作れ…

月の世界とわたしの影.

ミルクティー色の猫に逃げられた。何かしらあなたはどなた、という落ち着いた調子と足取りでトラックの下に潜って行った。 溝の中に露草がぎっしりと茂っていて、朝には青い花を咲かせている。頑丈な植物だな、と覗き込むのに暫く時間を取ってしまった所為で…

永久に青く.

夜空の穴について考えていると、ピンホールカメラをやりたくなった。あの、薄かったり濃かったりするのにはまりそうだけれど、ああいう特殊な撮れ具合のものは、それだけで満足して一向に腕が上がらない気がするので、自分ではやめておく。 - 論文執筆という…

中てられる連休.

涼しくなったせいか、以前のたまり場所に猫達が戻ってきた。「久しぶり」「あんた誰」「何さ」色々な表情が見える。若い猫は、こちらが視線を送ると身を乗り出して見返してくるが、ご年配の猫は気配を気にせずにただ目を閉じて眠りに落ちていく。 自宅近くに…

我儘の処理速度.

本当に時間がないのに、希望で打ち立てた(都合や必要で、ではなくて)優先順位を覆さない自分は、どこかおかしい。 コンクール、というものを初めて見に出掛けた。素人も素人で審査基準がよく分からないが、自分なりに懸命に見聞きした。審査員にもいろいろ…

耳猫と月兎.

二ヶ月ぶりの授業、学部二年生向けのクラスは私語が非常に鬱陶しい。私語してはいけない、というマナーを引き合いに出すまでもなく、単純にとても煩い。聞きたい音が聞こえない。 時々、他の人より耳がよく聞こえていないのではないか、と感じる。そこそこの…

白いカラー.

外は雨、ショッピングセンターの軒下に座り込み、ファーストフードの袋から芋の揚げたのを取り出す少年在り。シャツの釦を上から二つ目まで派手に外している、その襟と鎖骨が妙に白い。いつもはベンチに座って行儀良くしているのかもしれないが、生憎ベンチ…

これで良いのだ.

父が会社から貰ってきた(貰ってきてやった、と父)芋焼酎を戴く。最近の芋焼酎は芋臭く出来ていないようで、他の焼酎とあまり変わらないくらい、嫌な臭みがない。が、ふう、と一息ついた時に、独特の芋の香が口の中を漂う。甘い。何杯も飲んでしまいそう、…

生活臭に囲まれる.

「何となくだるい」(やる気のない)症状に効くドリンク剤か、一、二週間眠らないで済む薬品はないものか(そんなものは存在しない)、とドラッグストアに出掛ける。棚を一巡りして、ここに来る事さえ間違いである、とっとと帰って「気合」で勉強しなされ、…

日曜読書家の一日.

本棚に入れない本の群れの前でしゃがみこんで暫くじっと本を見つめていた。なぜだか知らぬが落ち着く。今読むにはどの本が一番良いのだろうか(実際には読まないけれども)。楽ちんすぎても厳しすぎても、長すぎても短すぎてもいけない。テーマも、美味しい…