ジェルソミーナ

フェデリコ・フェリーニ『道』の中で、一番有名な挿入音楽は、
「ジェルソミーナのテーマ」ではないかと思う。
「この世に役に立たないものは何も無い」
とジェルソミーナに教えた、ヴァイオリン弾きの芸人が奏でた曲である。この曲のmidiを居間のパソで流していると、父が口笛でなぞってきた。


この映画と曲を暫く忘れていたのだが、部室でドヴォルザークのセレナーデを何気なく聞いていると、「ジェルソミーナのテーマ」に似たフレーズが流れてきて、はっとしたと同時に、随分前になるが『道』を観ていた時の事を思い出した。
この曲とドヴォルザークは、関係があるのか無いのか(恐らく無いのだろうが、同じ調でこれだけ似たフレーズが出来るとは、音楽と人間とは妙なものだ)知らないが、ちょっと被ったフレーズで、記憶の波が押し寄せるとは…自分に驚いた。


思い出したいのか、思い出したくないのか、分からない。
内田百輭サラサーテの盤』…程ホラーでは無いけれど、妙な感覚(背中をつつっと指でなぞられるよう)が訪れるのだ。
…麻酔……吐き気がする。
サラサーテの盤―内田百けん集成〈4〉 (ちくま文庫)