重.

急に湿気を伴った夏らしい暑さが、関西にも到来したようだ。暑い…日差しも熱い…
貸し出し期限が過ぎてしまい、督促状まで貰ってしまった図書館へ、本を抱えて行き、また同じ量の本を借り出してきた。貸し出しカウンターで処理が終わるまで茫っとしていると、開放されている入り口の向こうから、雨の匂いが入ってきた。嗚呼、この匂い…と数秒そのまま茫としていたが、傘を持ってきていないことに気づいて我に返り、帰りを急ぐが、図書館を出てすぐ、大きな雨粒がぼだぼだと落ちてきた。幸い図書館は自宅から徒歩五分の距離で、本を濡らさずに済んだが。雨は嫌いではないのだが、持ち物が濡れるのが困る。

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昨日帰宅中の電車で、自分の手帖に、「負けない事。自分に。/何があっても人前では笑顔。泣くときは一人で泣く事。」と書いた。(…恥ずかしいので、こそこそと手帖を隠しながら)これ以上無い程に、私にとっては難しい課題である。
しっかり予習をしていったのにも関わらず、授業で大ミスをやらかしてしまい、大いに落ち込む。否、ミスくらいは誰でもするだろうからまあよいとして、私より予習出来ていないであろう人に「へっ」と笑われたり、先生に余計な時間を取らせた事について悔しく思い、落ち込む。落ちそうになる涙を、何とか上を向く事で流さずに帰宅し、顔を洗いメイクを落とした後、自室に辿りつく。「もう泣いてもいいんだ」と思ったら、疲れと睡眠不足が一気にやってきて、泣くより眠りについてしまった。
私は不器用なのだから、人の倍は頑張らなくてはいけないのだ、と強く思う。もしくは、周囲の人の頑張りへの目測が、私の場合甘いのかもしれない。今までは、こんな自分でも何とか一定レヴェルまでは持ち上げる事くらい出来る、と自負だけしていたが、決してそうではなく、私は本当に情け無い程何も持っていないし、ただでは何も出来ないのだ。見栄を張って良い時というのは、本当に頑張ってみた時だけかもしれない。
これからは暫く(力を抜いて良い程不器用さを拭えるようになるまで)、何とかなる、と思わない。負けない事、自分にだけは。

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ヴェルディ「椿姫」のCDを図書館から借り出し、全部通して聴く。日本語のスクリプトがあると何とか楽しめるが、これはきっと字幕も無しで観たらば、間違いなく寝てしまうだろう。音楽はとても良いし、単純ではあるが勿論科白も利いている。
真の恋に目覚めた娼婦ヴィオレッタは、今までパリという砂漠に一人打ち捨てられていた自分が求めるべきは、楽しむ事、いつも自由である事、だとか。結局彼女の中に残った印象、拭い去れなかった感覚は、「不思議」だったが…恋とは、言葉では語れない、またこれと定義出来ずぎゅっと掴んでおく事の出来ない「不思議」体、という事か。