棘.

まだ風邪気味のところ、運良く授業は一コマで、終了後さっさと帰宅する。ここ数日ごたついていた考えを整理すべく、寛ぎながら読書を始めてみた。以前友人がわざわざ郵送してくれた本を一冊、いっきに読む。自信 (知的生きかた文庫) すべて断定形で最初は面食らったが、パワフル且つ謎の説得力に満ち溢れている内容で、恐れ入った。自分に自信がなくて悩んでいる人を対象にして、自分に自信がないのはなぜかという解析から、自信を持つ(のではなく、育てる)方法まで、実例も踏まえて効率よく述べられている。
自信がないから自己主張出来ないのではなく、自己主張がないから自信がないのだ、と気がついた。

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教員免許取得の為の、教職科目を履修しているのだが、その中で暫くニートと対人能力が、講義テーマに上っている。二回生配当の授業である為か、当の二回生達は「あまり実感が沸かない」と感じているようなぼんやりとした顔で講義を受けているが、私を含め後一、二年で就職活動予定の者は、いちいち突き刺さり追い詰められる内容である。若者の就職難、労働意欲の低下、失業率の上昇は、対人能力の低さによるらしく、そうであるならば、学校教育の時点でどんな課程や指導案を組めば、それを回避出来るのか、という議論がなされる。
実際就職に悩む若者を取材した映像を見せられるが、その中で「私の両親と同じ事を云っている」とか「私も同じ状況だった」という事がたまにあり、また現実という棘が私に刺さる。「もうそろそろ就職せんと…本当に考えてるん?何やりたいかわかってるん?お父さんももう退職なんだから、何でも良いからはよ働かんと。どうすんの?」 …すでに自分で何度も何度も考えて責めてきた事を、両親を含め他の人から云われるともう何も云えなくなるのだが(無言で逃げたくなる)、「頑張って」と云って欲しくないと思っている事を気づく人というのは、なかなか居ないのかもしれない。そもそも、両親から褒められた事は一度もない。勿論今の私があるのは、すべて両親とその他の親切な人達のおかげだが、失敗した時も何かうまく(誰かが望んだ通りに)行った時でさえも、褒められた事はないように思う。親に好かれようと思う事に、そろそろ見切りをつけねばやってられぬのやもしれない。いくら頑張ったところで、子に甘え子に多くを求めている事に気づかぬ親には好かれる事はない。