硬いグミ.

自意識ははっきり持ち続けているものの、視界と脳内が朦朧とし、足取りもおぼつかぬまま大学に向かう。こんな状態は、卒論提出間近以来かもしれない。思考について、まともであるつもりでも数分後に考え直すと、屈折して全く筋が通っていないそれに気がつく。
発表は、レジュメ作成だけで精一杯で、発表原稿なしという私にとっては暴挙に出たが、睡眠不足の所為で抽出された脳内麻薬のお蔭か、ハイテンションでノンストップに喋り続けた。こういう時一度でも話を中断してしまうと、元々思考能力零である為、二度と再開の見通しがつかない。呆れられた様な気がしたが、学生風情の発表は何事もなかったかの様に、「ご苦労様」で流された。
自分では大いに不満足である。勉強しよう、勉強したい。

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ひとまず終わった開放感で、楽器を弾く。「時間をかけて何としてでもやり遂げて欲しい」と師匠がおっしゃって下さった点に取り掛かる。が、ある点がうまくいくと別の点がうまくいかない、という最もストレスフルな状況に陥っている、という事だけを知り、技術自体は相変わらず進歩を止めたままである。困ったものだ。

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甘いものをやたら欲する時期が、女性にはあるらしく、つい帰宅途中にお菓子売り場を覗いてしまう。欲求に忠実であると確実に「増量」していく為、出来るだけ低カロリーのもので健康的かと思われるものを探す。幼い頃から好きなグミを、この歳になっても時時求めてしまうのだが、今日もハリボーのベアグミを買ってしまった。最初食べた時は、その硬さと雑味に嫌気が射したものだが、顎に良さそうだと思いはじめると、気にならなくなった。我ながら現金である。味の半分以上は、印象で出来ているのかもしれない。
ミヒャエル・ゾーヴァの挿絵が可愛らしい『ちいさなちいさな王様』に出てきた、王様の食べ物のベアグミは、例のグミなのではないかと勝手に思っている。

ちいさなちいさな王様

ちいさなちいさな王様