金平糖の棘とげ.

金平糖の棘、に例えている会社に出遭う。以前、「自分自身を物に例えると何か」と訊かれた際、金平糖、と答えた事を思い出す。小さくて固く、得体の知れない形をしている。噛むと仄かに甘い。ものによっては、粒によって味の違いがある。それだけだ。
その棘を作るには、多大な時間と手間がかかる事や、また何度も何度も重ねる作業の過程が、結婚式の引き出物に選ばれる所以である事は、後後知った。

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セミナー会場は、先日閉館してしまった古都の映画館に似ていた。金糸でスポンサー名が刺繍されている赤いビロオドの幕に、大抵同じ色の折りたたみ座席は、やはりそこそこの歴史を感じる。そして相変わらず、座りづらい。あまり深く座りすぎると、膝が浮く。

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また古本屋素通りに失敗す。購入した古本のうち一冊のカヴァアは、米粒で接着されていた。中身は『ポオ小説全集Ⅲ』、少し不気味だ。

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節分らしく、夕飯は巻き寿司と鰯を食べた。方向音痴には、恵方もなにもない。母と話をしながら、いつも通りの「方向」を向けて消化してしまった。