猫舌にたこ焼き.

引退した部の追い出しコンサートに行く。予ねてより練習してきたアンサンブルの発表を、現役に対する半ば押し付けで行う。頭は冷静でも身体ががちがちになり、楽器を弾く腕が空回る、という緊張は何年ぶりか知らないが、自分の緊張度合いのレヴェルとしては一番質の悪いやつが出た。若いうちの恥はかき捨て、という「名文句」を唱えて忘れる。練習はした方なので、後悔はあまりせずに済んだ。
自分の事はさて置き、時の経つのは早い。引退する後輩達の最後の合奏を聴き、その成長具合を嬉しく思った。

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コンパという名の懇親会に、少し顔を出した。一通りの盛り上がりを見届けて帰宅す。自分はお酒を飲まずに、お酒を飲んで騒いでいる人を見ていると、自分が本当にその場に居るのかどうかわからなくなり、意識が浮遊しだした。お酒を飲んでいない方がぶっ飛ぶ事がある、と初めて知った。
殆ど何も口にせずに会場を出たものだから、お腹が空き、途中で合流したひととたこ焼きを買って食べた。大学の最寄り駅までの道にあるたこ焼き屋は、いつも一個おまけしてくれる。この日も、近くのベンチでパックを開けると、8個入りを買ったはずが10個入っていた。パックの上に二本並んだ割り箸が、何となくうれしく思えた。ふたり共猫舌なので、かなり大粒の5個をお腹に収めるには、30分以上かかった気がする。

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心の中でだけ、他人に暴言を吐く事を覚えた。
他人から得た情報を、いかにも自分の主張であるかの様に押し付け、「そんな事も知らないで就職活動しているのですか。馬鹿ですね。」という口調で責める人に、少々むっとした。勿論自分はまだまだ情報収集不足で、むっとするのは他人の忠告を受け入れる素直さがない証拠、負け犬の何とかと云われればそれまでである。だけれども、むっとするものはむっとする。今の自分は、そういう意見に対し、むっとする人間なのだから、まあ仕方がない。
駄目な会社、かどうかは自分で決める。自分で考えたやり方でやって、失敗して泣いてたまに笑う。