空洞には虚しさが響いた.

深夜唐突に『潮騒 (新潮文庫)』を読了す。男は気力、だと記されている。ちらちらと垣間見る身体に関する描写(他…念のため)はさすが文豪のもの、すべて読破してこの描写と美文力見習いたい。
一方、ギリシャ悲劇を読むよう講義で云われたので、本棚に突っ込んでおいたものを出して、とりあえず枕元に置いた。茶色くぱりぱりになったパラフィン紙が愛しい。 また別に『ダフニスとクロエー (岩波文庫 赤 112-1)』を読もうと思い、アマゾンで調べると、「この本を買った人はこんな本も…」コーナーで『潮騒 (新潮文庫)』が入っており首を傾げるも、納得しない事はない。しかし続けて読むと鼻血が出るのではないかと思うのだが。古典で、今まで数々の文学の土台になっているものは、たとえ鼻血を噴いてもさすがに読みごたえがある。『トリスタン・イズー物語 (岩波文庫)』は、極上の恋愛悲劇を求める方から象徴や伝説、神話好きの方にもおすすめ出来る。
昨日は『にぎやかな未来 (角川文庫)』(筒井康隆は容貌もキャラクターも作品もずば抜けていると思う。宇宙人かもしれない。『七瀬ふたたび (新潮文庫)』以来、愛好)を読了す。近頃『富豪刑事 (新潮文庫)』が深田恭子主演でドラマ化した。ドラマを観ていて、ふと「筒井康隆臭い」と感じ、スタッフロールで確認したところ、案の定であった。臭さの要因は何だか分からぬが、登場女性の在り方や価値観の類似点かもしれない。氏の描く女性は、物凄く美人でセクシーで聡明でちょっと強くてちょっと弱いところがかわいい。

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悲劇なんて 読みたくない 面倒くさい という本音が半分、嫌いになりたい人の必読書シスト入りしていたから読みたくない という本音が半分

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伝えたい事が多すぎてうまくまとめる事が出来ず、弱い一面だけは理解されたまま面接は終わった。初対面で「深読み」は勿論期待しない。伝え切れず、縁に結びつかなかった事だけが不甲斐無い。
働きたいと思っている会社では話が出来た、話を聞いてもらえた。これで駄目ならば、一旦この業種に踏み込む事は止める事にする。やりたい仕事だが、今は本当に力不足で出来ない仕事なのかもしれない。この会社で駄目なら、諦めるべきなのかもしれない。諦めないべきなのかもしれない。この会社でこの仕事をしたかった、だから他ではやりたくない、という気持ちは逃げなのかもしれない。
でも大切なのは、「すべき」じゃなくて、「したい」なのだ、という事を、私は知っている。
どう「したい」のだろう。
そんなに考えている時間は無いのに。

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考える事が、整理をつけるべき気持ちが、一杯ありすぎて、折角チケットをいただき聴きに行った大学のオーケストラの演奏会は上の空で聴いた。元気がよく新鮮な演奏は、空洞化した心身には響かずに、表面を撫でた後筒抜けていってしまった。
自分が開けていなければ、音楽は音でしかない。

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モーツァルトの「魔笛」がよく演奏される。楽器は違えど、一度弾いた為毎度懐かしく思い出す。楽器が違うと、優雅さと弾きっぷり、息遣いが違う。

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自分自分、とばかり云う、と面接でご指摘があった。お客様に対するのだから、自分よりも他人の事を考えなくちゃ、と当たり前の事をおっしゃる。その言葉を聞いて傷ついた。
何に傷ついているか、本当に私は自分の事ばかり考えているのかどうか、暫く追求してみる事にする。