怒りの日.

猫は、基本的に静かにしているから、好きだ。身体を震わせて一生懸命に鳴いている犬が、何だか気の毒に感じる。喉は無事だろうか。
教授に至極真っ当なお咎めを受け、反省と今後の決意を手帖に書きなぐる。兎も角、手足を動かして脳に刺激を送る事だ、と少し硬めに茹でられた薩摩芋と馬鈴薯のサラダを咀嚼しながら考えた。近頃は芋ばかり、食べている。週の頭から薩摩芋の天麩羅を食べ、幼い頃からこの時期になると食べたくなる干し芋*1が、ここ数日の茶菓子だった。食物の摂取量を種類別に図示すれば、芋の棒グラフだけ突出して現れるに違いない。でん粉ばかり。顎はこうして培われてきたのだ、と芋を食べながら思う。

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雑貨店兼書店を冷やかしていたところ、『NARA NOTE』を衝動買いしたくなる。弱い気持ちからぴんと「気をつけ」をしようとする様な、しなやかな言葉が欲しかったのだ。奈良美智の画集はいつか買おう(しかも一番画が多いものを)と決めていた一方で、文章ばかりの本には強く惹かれた事が無かった。ここで、読みたい、と思ったのは、この本が必要な時を迎えたからだろうか。
出会いとは何でも、そうであって欲しい。
結局、本棚に並んでいたそれが、あまりにも脂染みていて草臥れていたので、悩んだ挙句他で買う事にした。後ろ髪を引かれる思いで帰途に就く。

*1:スライスして茹でた薩摩芋を、粉がふくまで天日干ししたもの。食感は、もちもち、或いは、ぷつぷつ、で、素朴な甘さと共に一度食べると虜になる。芋するめ、とも云うらしいが、その呼び方だと何だか生臭く聞こえるので気に入らない。確かに、噛めば噛む程味わいは増すのだが。