いい匂いのするメルヒェン.

論文のタイトルを少々いじって整え、それを名前と共に書類に書き、印鑑を押す。修士号を下さい、というのが、凄くおこがましいが、一応願い出てみる。事務所に行くと、書類は良い匂いのする綺麗な事務員さんの手に渡り、あっさり受理されてしまった。私の書類は、そんな良い匂いに乗せられて良いものではありません。
大学近くの喫茶店、しかも飲食に励んでいる姿が外から見えない店で、ベーコンとごぼうの入ったペペロンチーノを食べ、いい加減体内が酸性化していそうな気がしたので、百円追加して食後にサラダも摂った。
ここのところ、新年を迎えると同時に新しくした手帖が嬉しくて、喫茶店で落ち着くとずっとこの手帖を睨んで、何やら書いている。近頃の議題は、喫茶店のテーブルの上で消しゴムを使った場合、消しかすの処理はどうすべきか、という点である。一応の解決として、手帖の隙間に一時的に挟んでおくか、適当なメモ用紙に包んで後で捨てるか、という案が挙がった(と書いてある)。しかし、小学生の頃から、消しかすは頁の隙間に挟んだままにしておいてはいけない、と母に仰せつかっており、自分でもあの黒い影を見ると頗る機嫌が悪くなるので、ここはやはりメモ用紙案を採用する事にした。また、頁の両面に書くと裏に写る事の対策として、店で拝借した紙ナプキンを挟んでおく。
その他、手帖に書き込む際の掟リスト、場所毎の喫茶店、カフェリスト、難漢字(躊躇、躓く、薔薇、鬱、蚯蚓、嫉妬)までご丁寧に書き込んだあたりで、自己満足の時間に12時の鐘が響いた。