根強さ.

気紛れに摘み取って、自室に飾っている緑から、根が生えてきた。切り取られても生き延びようとするその強さに、少し物思いする。

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そろそろ楽器の絃を張り替えねばならないし、調整に持って行かねばならない。楽器は消耗品である為、初期の出費だけでは済まない。・・・楽器の調子が悪い時や絃の換え時に限って、懐が寂しいのはなぜなのだろうか。困った奴だ。
まだ基本技術が甘い所為で、今回も合奏に集中出来ず終わる。もっと練習したいけれど、一日はどうしても24時間である。
休日の24時間を有効使用すべく、以前見つけた、練習場所から丁度一駅先の古本屋に立ち寄る。楽器を含む大荷物を持って狭い店舗内をうろつく等、非常識とは思ったが、普段はなかなか時間的距離的制約が有り立ち寄れない為、何とか店主様には目を瞑ってもらいながら、小一時間吟味する。欲しいものはいっぱいあるが、すべて購入出来る程懐に余裕がある訳でもなく、他の店でも発掘出来るであろう書籍は棚に残していく。結局、「美学」「シュールレアリスム」「音楽の歴史」文庫クセジュを3冊(何処の店でも揃えている訳ではない)とアイルランドの歴史に関する単行本を購入して、上品で閑静な街を後にする。後から「何か購入し忘れた」と思い返せば、ゴッホについての本が気になっていたのだった・・・少し悔しい。
G.W.は、毎年恒例の古本市に足を運んだり、気になる書店を巡る良い機会にもかかわらず、何時にも増して懐が寂しい。こうなったら、手元に山ほどある読むべき書物を大人しく読んでいよう。・・・とは思うものの、やはり読書と書物探しの旅とは、違う楽しみがあるのであって、図書館(連休中は当然休館だが)に行ったとしても後者の楽しみについては完璧には満たしえない。大学の街の掘り出し物が一斉に姿を現すというのに、悶々と自室に篭る等考えられないのだが・・・ものが無いのだから仕方が無い。 この悔しさを胸に嗚呼、働こう。

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購入した文庫クセジュ『音楽の歴史』を早速読んでいる。文学史においても同様だが、作品ひとつを見る事も楽しいがその一方で、その作品が編まれた経緯や背景、流れを追う事も、またひとつの楽しみである。歴史について少し勉強した後、もう少し聴く音楽の幅を広げていければ、と自分で思っている。好きなもの事についての関連書には、柔軟な思考と受容器で以ってなるべく多く触れていきたい。
今楽団で「椿姫」を練習しているので(楽しいけれど難しい、難しいけれど楽しい)、以前から気になっていたが手をつけずにいた、デュマ・フェス『椿姫』を購入す。これも連休中に読みたい。こういう翻訳本を購入する際、翻訳者と出版社を吟味したいところだが、果たして「読み進め易い訳」「多少読みにくくとも、研究が行き届いている正確な訳」「雰囲気又は現在に合った言葉遣いでなされている訳」等のうち、どれを選び取るべきか常に悩む。私は大抵、何となく雰囲気と真面目さ、そしてしばしば装丁の無難さ(気に入らない装丁の本は、あまり本棚に留めておきたくなくなる)で岩波文庫版を選んでしまうのだが、今回は書店に岩波文庫版が置かれていなかった為に、新潮版を購入する。新潮文庫自体は好きなのだが・・・何だか落ち着かない。

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鬱陶しそうに連絡を中断するくらいなら、最初から連絡してこないで欲しい。