パラフィン グラシン トレーシング.

そろそろ気温が高く蒸すようになってきたので、晩に自室の小窓を開放していると、良い風が入ってきて気持ちが良い。滑らかに肌を撫でる、程好く冷えた初夏の風が好きである。

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昨年の初夏や夏は麦藁帽子が欲しかったが購入出来ず仕舞い、今年は下駄が欲しい。足に吸い付く木とその冷たさを得たい(がしかしよく考えると、私は冷え性で足を冷やすと良い事は無いのだった・・・)。女性用下駄は鼻緒が美しく粋で、こういう時--服飾品の種類とその美しさに触れる時「女性で嬉しい」と思うのだ。
手持ちの文庫本にかける為の、パラフィン紙(古い岩波文庫古書店で扱われている書籍にかかっている半透明の薄紙。箱入りのそれを紙を破らず皺を極力よせないようにする際、毎度肝を冷やす)を探しに街へ繰り出す。今まで気に入りの本と外出時に読む本にはトレーシングペーパー(購入したてですぐ読む場合は、書店でカヴァアをかけてもらう)をかけていたのだが、それとは違う(トレーシングの方が丈夫なのだが)、パラフィン紙独特の指触りと、脆くすぐ脂沁みるがその何とも云えない味わいを求めたくなり、何軒も店を見て廻るが置いていない。いつかめぐり合う事を願っている。
放浪のついでに、研究室用のマグカップを品定めする。模様よりも佇まいと雰囲気、手触り、収まり方の気に入りを求めたが、「良いものは高価である」という公式を再確認出来ただけであった。良い器で食事をしたいとは思うが、買い揃えるだけでうんざりする程お金がかかる事は間違い無い。(蚤市で拾ってくるか、嗚呼) 

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イタリア・オペラ音楽で有名なプッチーニと同時代で、マンドリン界で最も有名なイタリア人作曲家である、Ugo Bottacchiari(ウーゴ・ボッタ(ッ)キアリ 1879-1944)を集めた音源を聴く(滅多にマンドリンオーケストラ以外で演奏される事は無いが、原曲は管弦楽曲である曲は幾つか有る)。今現在でも演奏され続けているだけの素晴しさがあるが、すべてロマン的情緒に溢れている為、その音源をすべて聴ききると何だか疲れる。飽きないけれども。※midiを公開しておられるサイト、幾つか有り
ボッタキアリの曲が好きなひとというのは、極度ロマン的思考の持ち主であろう(ロマンチスト、と云うのだろうか)、と知人が冷めた口調で云っていた。
そもそもロマン主義者とは、どんな思考(嗜好、志向)を持っていたのだろうか・・・二年前に講義を受けた気がするが、すでに記憶の彼方である(嗚呼勿体無い)。ある程度時代毎に纏まって存在する「主義」というものを紐解く事は面白い。環境が同じであれば、全体を見回してみると結局同じような思考形態を取り得るという事に、気がつく。どういう環境とそれまでの環境の変化経緯により、思想がどのように動くのか、という「過去」についての研究についての意義はうまく説けないのだが、何だか毎日の思考が少しはスムース化する気がしないでもない。

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首をぶるぶる横に振って、物思いを吹き飛ばしてヰル。

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※諸々の更新事情により、済んだ日の日記の内容を後から追加・変更する場合があります。多少拡大縮小している様子が見られれば、其の所為です。良かったらまたテキトオに覗いてやってください。