幾杯かの苦味.

台風の日は、低気圧と湿気に反抗せずに、自宅でゆっくりしていたいところだったが、研究科の博士の方の学位取得お祝いの為、上洛す。相変わらず祝辞を噛み続ける学長以外は、恙無くささやかながら温かいお祝いが出来て良かった。花束、シャンパン、写真撮影大会、先生からのケーキ(キャラメルクリーム入りの小さなシュークリームが、パイ生地の土台に山盛りになって、バナナと洋酒が効いたチョコクリームが添えられている、という豪華な)で、学友との良きひと時を過ごす事が出来た。

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実は先生のケーキ待ち時間が数時間有り、待ち草臥れた数名で、研究室所蔵の雑誌に有った心理診断をネタにしてお喋りに花を咲かせていた。
診断とは離れて色々な話題で言葉を交わし合った中で、ひとつの事実に気がついた。その事実とは、研究室の中で、私だけが唯一、第一子である事だ。他の方々(文学研究科である所為か、もともと女性が多く、この日は女性のみであった)は、第二子以下であるらしい。第一子は甘え下手で、「何でも一人で片付けなければならない」という脅迫観念を慢性的に持っているのではないか、と勝手に私は捉えている。一方で、第二子以下は、甘え上手であり、また人との間合いを器用に取る事が出来るのではないか、と。(以上は独断と偏見であるからして、否定批判されても致し方無いが)
以前から何となく、原因不明で不明瞭ではあるが、彼女達のテンポや思考と私のそれには溝が有る様な気がしていた。良いか悪いか、という判断は勿論出来ないのだが、どこか「重さ」を感じる空気が、研究室に流れている。そのひとつの原因と、私がスムーズに其処に解け込んでいけない理由が少し判明し、「どうしてしんどいんだろう、なんて、考えても仕方のない事なのだな」と少しだけ吹っ切れる事が出来た。
長時間研究室に居て、全身で違和感を浴び続けた為にかなり疲労したが、やはり直接言葉を交わす事は重要なのだ、という事を知った。解け込む努力はもうあまり出来ないかもしれないが、どうにか折り合いをつけながら、其処にも自分の居場所を見つけたい。

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頑張っている気はしているのだが、「頑張って」とひとから云われると、少し哀しくなる。もっと頑張らないといけないのか。試してみてもいないのに「もう無理だ」とは云えないから(一般に、自分で限界を作ってはいけない、とか。でも、限界を弁えろ、とも云う。世の中は大層都合がよく出来ているものなのだな)、もう少しだけ少しずつ頑張ってみる事にする。

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返信するにもものを考えるにも、何かがおかしく正常に作動しない、と思ってよくよく考えたらば、どうやらコーヒーの呑みすぎらしい、という結論の推測に辿り着く。ピッチャー一杯くらい呑んだのではないかと記憶している。何とも危険な液体である。