液体たち.

孤独、とはどんな状態どんな感情なのか、本当は私はよく分かっていないけれど、何とはなしに、孤独だ。
…そう云ってみたかっただけかもしれないので、やはりよく分かっていない。

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注:「孤独だ」は単なるサンプルで、下記では特に何も含意しない。
孤独だ(笑)。  [自嘲気味。或いは、軽く。比喩扱い。]
孤独だ(爆)。  [しまった、今気がついたけど]
孤独だ(汗)。  [どうしよう、と焦り気味]
孤独だ(泣)。  [真剣に]
孤独だ(嬉)。  [解放の喜び。或いは諦め]
孤独だ(涙)。  [「枕に黴が生えるわ、ほんとに。」相談したい]          
                              …ええと。(保留)                     

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水に入った数個の透明なカプセルから、突如赤く小さな金魚が生まれた。暫く回遊した後、金魚達は水から飛び出し、机の上を跳ね回る。水に入れてやらないと死んでしまう。必死に手で掬おうとするが、一匹たりともじっとしていず、部屋中に散っていく。やっと捕まえたと思えば、潰れてしまった。外は雨で、せめて外に出して雨を浴びせてやれば気持ち良いだろう、と窓の外に追い出そうとするが、窓硝子と溝の間に挟まり、潰れていく。澄んだ赤がとろけ白くなり、雨は金魚達の残骸を静かに外に運んだ。
私は一匹も、救う事が出来なかった。そんな夢を見た。赤く冷たい夢の外では、本当に雨が降り始めていた。

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ニ、三日前は、ずっと快晴で、空模様を見るだけで暑さを感じていた。開け放った窓から雨音が聞こえる、と寝台の上で思っていても実際には晴れていて、よっぽど私は雨を恋しがっているのだ、と分かる。しかし今日は、久々に空耳ではない雨音を聞く事が出来た。
屋内に閉じこもり、雨の音を寝台の上で聞き、時々窓辺に行って雨と灰色の外界を見、寝台に帰ってきて読書等をする時間は、私にとって本当に満たされていると感じる時間のひとつだ。

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大学に置きっ放しにしてあった楽器を取りに行く。久々に、自分の楽器より低い音を出す楽器を、借りて弾いてみる。音が低くなる分、楽器の体は大きくなる。大きな楽器を抱える。低くやさしい音に抱えられる。また気紛れに、抱っこをせがみたい。