ひねもす夕暮れ.

電話の電源を暫く切っておいた。仕事をしている訳ではないから、切っておいても誰も困らせる事はなく、幸いである。
思いの外清々して、驚いた。

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茫然と自室の本棚を見やっていて、目が留まったので(サガン繋がりだ、と後で気がついた。自分の思考の事なのに)ぱらぱらと捲り始め、最後まで読んでしまった。ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)大好きでもないけれども、嫌いでは決してない。
「そういう人(大好きでもないけれど…という人)っているなあ」と、ふと思った。

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友人に送る為の葉書を、雑貨屋に見に行く。何軒か廻って、気に入りを見つける。葉書のほかに、鞄や帽子がやたらと目につく。自分がそれらを欲しがっているのが分かる。「今無いと困る、というものぢゃないだろう。贅沢は敵よ。」と自分に云い聞かせ、店を大人しく出る(までに、小一時間かかったけれども。まるで檻のなかのゴリラの様にぐるぐると店の中を徘徊し、毎回同じものを同じ時間手に取り見つめる客に、店員はさぞや気味悪がっただろう)
秋ものの帽子の、「落ち着きぶり」が好きだ。春の様に可憐でもなく、夏の様に夢みがちでもない。