just a child.

中学時代の友人と会う。中学の最寄り駅に行くのは、7,8年振りだ。ショッピングセンターの棟が新しく出来ていた他は、変わらぬ雰囲気があった。その駅に着くまでの車窓からの景色は、殆どもう覚えていない。在学中の自分や同級生を少しだけ、記憶の底から引っ張り出してみた。「少なくとも、同い年の人より、自分は大人で世の中を分かっている」つもりになっていたが、どうだろうか、と今思う。子どもだった自分を思い返して、ため息をついた。全国によくいる質の、悩ましげな表情を浮かべた大人しい、ただの子どもで、いわゆる早熟な子どもでも何でもないのだよ君は、と当時の自分に教えてあげたい。
何年経っても学生であるうちは、私は変わらないが、社会人になると途端に皆綺麗になる。格好だけでなく、目つきや考え方も、次第に揺らぎの無いものに変わっていく。自分だけが取り残されて、変わらず子どもでいる、と沈みそうになるが、子どもなりに今出来る事を、自分も頑張ろうと決めて別れた。