shin-setsu.

あらしのよるに」を観に行く。狼が「食事をする」場面が壮絶で、「ごんぎつね」のアニメ版を思い出した。感涙と共に道徳観を求める映画らしいが、「良いのかそれで」と思う展開。幸せを求めて渦中に飛び込むのは勝手だが、親不孝は感心しない。ともかく原作を読んでみたい。
その後行き先を求めて繁華街を徘徊、特に目的が見つからず「とにかくコーヒーでも呑むか」という事にし、ふと見上げた先の喫茶店に入ったらば、当たりだった。何十年代のアメリカだなこりゃ、と形容されそうな店で、メイプルシロップ付き厚切り(3センチくらいあった)トーストとコーヒーを平らげる。
店の看板に"shin-setsu"と書かれていて、親切(kind)の意味かと思っていたら、トーストと一緒に出てきた紙ナフキンに、六花印と共に「新雪」とプリントされているのを見て、ようやっと真実に気がついた。(相方は「深雪」と誤解していて、それを解くのに何度か説明を要した。)アメリカンな店には「新雪」より「親切」の方が似合いそうに思うのだが、「新雪」という店名は字面の通り何だか新鮮に感じた。何度も通った事のある道なのに、一度も気がついた事のない店だから、という理由も考えられる。
新雪」という語を聞くと、幼い頃つくった雪兎を思い出す。汚れていない真っ白な部分で、尚且つ柔らかくて成形し易い部分と云えば、新雪に限る。そして「親切」と聞けば、英語の授業で覚えた"It's very kind of you."という構文をなぜか思い出す。色々な意味で懐かしい時間を過ごした。(相方は決して多辯なひとではないので、沈黙も会話のうちであり、水のなかの氷や店の外を眺めている時間もままある)

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広告批評」の11月号、12月号を購入した。一年間の広告をまとめて見ていると、案外自分は広告に影響を受けたり「面白い」と感じている事が多い、という事に気がつく。