むずむず.

僻地の図書館に行き、書物を返却す。暖房で空気が澱み、些か汗臭くもあったので、早々に退き、バスに乗り込む。停留所にてバスを待つ間電話をいじっていたらば、クラクションが鳴った。わざわざ到着を告げてくれるバスに、申し訳ないやら有難いやら、ともかく少し恥ずかしくなった。
その後電車で一駅行き、遅い昼食を甘いドーナツとコーヒーを流し込み済ませる。近頃のシナモンドーナツへの執着は、村上春樹の"羊男"の影響である。味も見かけも派手なドーナツの横で、静かに並んでいる地味なドーナツを選ぶこだわりは、自分の「影響され易さ」を物語っている。そんな地味なドーナツでも、まずまずの食感で決して食べにくくないので、近頃のドーナツに飽きた方にはお薦めしたい。
不採用に決まった会社の店舗に行く。まだほとぼりが冷めないが、私の生活には必要な店であるので、気にしない。
セルジオ・メンデスが突如聴きたくなり図書館に寄るも、見当たらなかった為、ジョアン・ジルベルトの「エッセンシャルズ」を、他に親戚の音楽好きお薦め、ヴァイオリン界の貴公子アンドレ・リュウ幻想の千年夜?ザ・キング・オブ・ワルツ」、たまたま発見した『音楽美論 (岩波文庫 青 503-1)』を借り出す。知らぬ間に借り出し限界冊数に至っており、注意を受ける。
休みを設定したにも関わらず、やるべき事は全く片付けられず、無為に過ごした。した事と云えば、凝りに凝った装丁の会社案内を、むずむずしながらバスの中で読みきったくらいである。やりたい事は山程ある。いくら惹かれ入社を望んでもこんな高倍率の会社に入社出来る可能性は針の先くらいであろうから、案内を読み夢を膨らましてしまう事に抵抗がある。むずむずする。
久々にボサ・ノヴァを聴く。アンドレ・リュウは、もっと華やかな気分の時に残しておく事にする。そんな気分はいつやってくるのか、全く想像だにせぬが、ひとまずPC内で眠らせる。