三月の雪.

あまりに寒いので、以前撮った赤いチェックのブランケットの写真を、電話の待ち受け画面にしている。電話を開くと心持ち温かい。

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昨日ボタンとビーズの店で、イヤリング用に赤い薔薇の小さな飾りを買ったのだが、鞄に入れっぱなしにしておいたせいで、花弁の先が少し欠けてしまった。鞄にわざわざ入れているのに壊れる、とは考えてみれば理不尽で些か納得出来ない。
色具合が一つ一つ違うので、二つ選び出すのに苦労した。まずその前に、赤色にするかピンク色にするか黄色か白かで随分迷い、店員を煩わせた。他の店で、同じ様なものだがアンティークのものが数倍の値がつけられて売られていた。どれを選ぶかは価値観によるのだろうか。難しい。

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ホワイトデーのお返しは、目方が増えるので食べ物は不要、ありがとうくらいで満腹になる。結局貰ったお返しは、紙切れ一枚のラヴレター、お菓子のおまけ、プレミアムモルツひと口だった。

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一度に読みきってしまうのが惜しくて、自分への日日の褒美として少しずつ読み進める、と決めいた『独白ニュースレター』を、終に読みきってしまった。仕事と日々の想いに真正面から向きあい丁寧に正直に綴られているこの往復書簡集は、ぬるい温度で毎日を何となく繋いでいる自分には堪えた。その為「頑張っている」と思える時にしか、読む事が出来なかったのだ。逆に「頑張っている」時や「疲れた」時には、「窮屈な檻に閉じ込められていた」思いを解放し、リラックスするのに役に立った。

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ひととの待ち合わせの間、よく知らない土地へと放浪に出かけてみた。うまい具合に神社というかっこうの散歩場を見つけ、社務所の灯が落ち人気のない時間、もう間も無く夜の帳も下りるであろう時間に、鳥居をくぐった。珠と巻物をくわえている一対の狐の間を通る時、少し緊張した。何処か別の世界か、妖しの世界に連れて行かれたらどうしよう、と「日本昔話」の様な展開を、幼い頃から変わらず想像してしまうからだ。