蝋燭のかなしみ.

電車で学力レヴェルと学費が高いとされる私立大学の学生の会話を立ち聞きしてみた。というより声が高く自然と耳に入ってきた。ピンク色のふわりとしたスカートを穿いたかわいい声のお嬢は、朝に弱く遅刻欠席が多いが故に、親御さんから「会社員は無理」と云われたらしく、彼女の生活態度を聞いて半ば飽きれ気味の青年は「ニートいいんちゃうん」と関西人独特のノリ(多分)で返す。お嬢「ニートいいな」と暢気に返答。
残念だが、お嬢のような性格の人は、きっとニートにはならないだろう。たとえニートになっても、ニートという自覚なしに幸せに暮らしていそうだ。
その後は就職活動の話に移っていった。

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自分の話言葉を文字に落とす際、なぜか大阪弁になる。つまり比較的きつい関西弁にしてしまう。なぜなのか分からない。 普段は京都弁(生粋の京都人が話す京ことばとは違う)と標準語が混じった方言で話していると自覚している。
ちなみに怒号を飛ばす時(滅多にないが)は標準語になる。

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書店・出版業界の面接時のネタに、手帖に「雨の日に読みたい本」を書き連ねておいたのだが、最新号『ダ・ヴィンチ』に同じテーマの特集が組まれている。 ネタの狙い方が平凡過ぎたか…練り直さねばならない。

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久々に出先最寄り駅近くの古本屋に行った。
教育実習で高校生の読書感想文に目を通した中で、何枚か見た『肝臓先生 (角川文庫)』を買う事にした。坂口安吾著、とは初めて知った。
坂口安吾は、父が昔好んで読んだ、という作家で、どこかで見かける度手に取ってしまう。が、一度も読んだ事がない。『堕落論 (角川文庫クラシックス)』をいつか読みたい。
他、『思い出トランプ』を購入す。

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母は、或る都会にはそらがない、と云う。
ビルばかりで青空が見えない、空気が汚れているのが分かる、という言葉から、『智恵子抄 (新潮文庫)』の一節を思い出した。

「あどけない話」


智恵子は東京に空がないと言ふ、
ほんとの空が見たいと言ふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だと言ふ。
あどけない空の話である。

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或る大切な人の蝋燭が揺らいでいる。いつかは尽きてしまう事がとても哀しいけれども、皆で必死に手で囲って守るから安心して下さい。