シトロン色の瞳、その他五本.

全思考を「暑い」という感覚と文句に支配されながら、茫然と道を歩いていると、すぐ近くに停められた自動車の下から伸びている5本の長細いものに視線を奪われ、踏むのを避ける為危うく転びかけた。近視の所為でぼやけた視界を絞り、暫く見つめていると、にょっと自動車の下から「愛らしいもの」が顔を出した。
あまりに暑いので、日蔭を求めて自動車の下に潜ったらしい猫だった。「5本の長細いもの」とは、足と尻尾だった。足と尻尾が殆ど同じ細さだったので、何であるかよく見えなかったのである。 尻尾が白と明るい茶色の横縞模様なのが、余計愛らしい。 可愛いなぁ、とこちらが見つめる一方で、猫の方は不審がってすぐさま「逃げ」の体制を作った。さすが、野良猫は鋭敏である。いやいや、そのままそのまま、お寛ぎ下さい、とこちらからさっさとその場を立ち去った。
溝の様な狭い川の底に、白い蛇が沈んでいるのを朝発見し、何かよくない事が起きそうだ、と不安になったが、ひとまず一日では事は起きなかった。
蛇が泳ぐところを見た事があるが、どうも不思議、というか、その原理が分からず、とても気になる。

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鏡の中で目を合わせる、その原理も、物理が苦手である私には分からない。図入りで説明を受けたい。幼い頃からずっと気になっている。

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mixi内で貰い受けたバトンの質問の中に、好きな人の横で眠るのはどんな心境、という問いがある。
家族でも他人でも、人の横に眠る時、眠ってしまった人の横で未だ目を開けている時、決まって出る癖の事を思い出した。
横に寝ている人は、本当に生きているのか、心配になるのである。この人がこのまま死んでしまったらどうしよう、なぜかそんな事を考え、不安になる。そして定期的に胸が上下しているか、寝息は不自然でないか確認する事で一応の安心を得て、何度目かの確認を経てやっと眠る。
その癖の理由は知らない。

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博士課程の方の発表を聴講する。一対一の指導時に回せば良い事を、今回は手厳しく聴講している者の前で指摘が入った。皆の前で指摘する、という事は、全員に注意を呼びかけているという事、まともに研究を進めていない者にとっては厳しい指摘と指導時間となった。
専門分野ではないからか、我が担当教授(仮名 阿相教授)は、配布されたレジュメすら見ずに始終全く関係の無い本をめくっていた。我々学生の授業内「内職」と同様、耳は傾けているのだろうが、教授でさえも「そういう事」をするのかと(しかもふんぞり返って)、内心鼻で笑った。
どうであれ、やはり、人の話は聴くものだ。

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もうすぐ七月、阿相教授が「遅くとも書き始める」時期に、終に来てしまった。