雨霞み.

一定時間毎に激しく雨が降る。 窓を開け放して音を聴きたいが、あまりに強く降るので閉めねば水浸しになってしまう。しかも窓が曇ってしまい景色も見えない。

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揚げ茄子の美味さに目覚めた。

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祖母から茶道具を借りて、食後に抹茶を点ててみたが、うまく行かない。玉が残る上に、泡は立つが味がまろやかにならない。
それでも茶碗と茶と泡の色のコントラストは、大層美しく感じられる。
おかずと皿の間、花瓶と植物と背景の間、そんな当たり前の事ばかり考えている。少し老いた様な気分である。中身は誠に幼いのであるから、現実逃避ばかりせずに、身の丈に合った事を素直に真面目に考えるべきだ、とどこからか声が聞こえそうなものだ。

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七月に入り、古都ではコンチキチンのお囃子が聴こえるようになった。練習している最中なのか、未だ間合いが揃わないのが何だか微笑ましい。

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分からない事、うまく頭が働かない部分が多すぎて、思考に靄が懸かっている。そして特に何も考えたいと思わない。ごくごく自然に、そうなのであるから、よく分からない。ぽっかりと浮かんでくる感情は幾つかあるが、どう処理したものか、考えが及ばない。
特に、「寂しい(淋しい)」という感情の処理に、近頃悩まされている。

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又、金魚の夢を見た。跳ねて水の外へ飛び出した金魚を、必死で捕まえて水の中へ戻してやる。死んでしまうよ、帰っておいで、という焦りで以ってである。
ぽっかり浮かんで身動きしなくなった、両手一杯の金魚を、そのまま洗面台から水道に流すと、詰まった。その赤い細かなものが、水道の栓の穴毎に刺さっている。片手分程救い上げると、一匹だけまだ尾を動かしている金魚がいる。摘み出して再び水に浮かべるが、動かない。埋める場所がないので、何とか苦心して水道に流す。次はするっと潔く皆、流れていった。
この夢にはもう慣れた。今回は金魚は溶けなかった。いつも、背景の白と金魚の赤が印象に残る。水には汚れた様子はない。