雨とヴォーリズ.

時には背伸びをせよ、と高校の或る教師が当時云っていた。背伸びは悪くなかった。が、それが過ぎて、元の丈が分からなくなった気がしている。背伸びをすべき時は済んだのかもしれない。
今日の予定はややこしい。 書類提出、論文読了後返却、明日の準備、水曜の準備、練習、・・・手帖に書き出すのがよさそう。手帖を見るのがなんとなしに嫌で、近頃持ち歩いていない事の支障がそろそろ出だした。
いい加減、寝台の片隅に置いてある『のだめカンタービレ』を片付けねば、いつになっても潔く寝台から離れる事が出来ない。置き場を思いつかない為置きっぱなしの雑誌一冊、古本屋で購入したが今のところ読む気力の無い文庫本二冊、もどこかにやって、気持ちよく眠りたい。ところが、頭の方が片付いたとしても、足の方にちらけている服とクッションと巨大なトトロ(貰い物)をどうにか移動せねば、安眠は得られそうに無い。そして相変わらず「愛着」という理由だけが撤去しない理由である寝台自体が、安眠ではなくて翌日の身体の痛みを提供してくれている。
洋館が立ち並ぶ大学には、なかなか雨は似合っていた。似合わないのは、流行の服のけばけばしい色合いである。普段着で書類を提出に来てしまった、と深く後悔していた横を、黄色い声を上げながら女子生徒が二人、同じ様に書類を持って駆けていった。本校出身者で構成されている緩い職場なら用は無い気がし、少し気が萎えた。