機械と生き物.

「就職活動だから」と断った飲みのお誘いがあったが、よくよく調べると就職活動は今日ではなく明日だった。頭痛が酷いのでまあ丁度良かったのだが。

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遅い午前に、電化製品の回収車が団地にやって来た。まどろんでいる者にとっては暴力的ヴォリウムの宣伝の放送が止み、どこかの家が呼び止めたのだ、と思えば、止めたのは我が家で、古い型のPCが回収されていった。
我が家が初めて買ったPCでまだ作動するくらいタフな奴だったのだが、もはやWindows98は誰も使わなくなっていた。モニターも勿論ブラウン管で、画面がつるっと出っ張った型のものだった。使わないなら置いておいても仕方ないのだが、無性にさびしく勿体無いと思うものなのだ、いざ捨てる段になった時は。
見送りに出る事が出来ず、後悔した。有難う、富士通子さん。(※ふじみちこ、通称みっちゃんという名のPC)

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夕飯に、肉肉しいゴーヤチャンプルーを家族と祖母で食べた。苦瓜のわた(種を含む、白く柔らかな内壁)を取る作業に熱中した。食べ物になるもの達は皆、死んでしまっていて残念だが、生き物や元来生き物だったものに接していると、呼吸がうまく出来る気がする。緑とぶつぶつを見つめて触って、頭の中が鮮明になった。蟹の缶詰を開けて盛り付けた。フェイクの蟹の蒲鉾とは違い、蟹身は物凄く蟹臭い。蟹には失礼だが、腐りかけた卵を海水で和えた様な匂いがする。あれは蟹の死臭だろうか、もしくは蟹エキス。私達も凝縮されると大層臭いに違いない。
祖母宅の台所に立っている間に、足を蚊に刺された。痒くて、母とふたりで、「かいぃ」と云いながら、片足立ちをしながら、空いた片方の足でもう片方の足を掻く。またしても、足の甲を刺された。しかしまあ、裏や指を刺されるよりは随分ましではある。