a moralist.

名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実一つ

故郷の岸を 離れて
汝はそも 波に幾月

旧の木は 生いや茂れる
枝はなお 影をやなせる

・・・(続)

島崎藤村 「椰子の実」>

大切なのは想像力か。

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覚醒直後、空調の涼しい風にあたり、矢野顕子を聴きながら、重い瞼をこじ開けた。さてと、という気になる。

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出掛ける予定をやめにして、文学作品の解釈に関する課題に取り組む。が、なかなか根が深い箇所を指定されたものだ。文学専攻ではないので(大学の都合で本来の専攻である言語学でなくて、文学ばかり勉強させられているものの)、どう頑張ったところで付け焼き刃的レポートにしかならず、そして出来栄えが悪ければどうせ「まあ専門じゃないから」と勘弁されるに違いない事を思うと、モチヴェーションが下がる。W.フォークナーは一生かけて研究するか、一生かけて読破するなら最適な作家かもしれないが、一本のレポートに仕上げるなら最不適な作家である。あれもこれも、と考えていると論文が書けよう。

人間はただ単に耐え忍ぶのみでなく、うち勝つであろうと私は信じる。人間が不滅であるのは、万物のなかで、人間のみが尽きることのない声をもっているからというのではなくして、魂を--つまり、共感と犠牲と忍耐とを可能にする精神をもっているからである・・・・・・。[詩人の]特権は、人間の心を高揚することによって、人間の過去において栄光であった勇気と名誉と希望と誇りと共感と憐憫と犠牲を思い起こされることによって、人間が耐え忍んでいく支えとなることである・・・・・・
<フォークナー ストックホルム演説>

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20世紀初中期におけるアメリカ文学は、「時間」と「純粋(innocence)」がテーマになっている事が多く、かの国独特の派手な筋立てよりも、このテーマが潜んでいる事に注目して読書を進める方が、好みにあっている。「勇敢(bvave)」「正義(justice)」という言葉は好きではないので、かの国とは深く付き合っては行けない気がするが、その癖(マッチョな言葉を並べている癖に)人間臭いところは、観察に値する。同じ星の人間同士だと、我が振りを見直したい時に便利だ。・・・かの国くらい雑然としていると、他の星の生き物も混じっていても可笑しくないが。好きなおじさん俳優が出演した、或る映画の様に。

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Song of Innocenceが読みたい。ブレイクの詩集は、いつか古本ででも見つけて、側に置きたい。嫁入り道具の一つにしてやる。