季節という平等、母国情緒.

また新聞屋さんが来た。虫は眠らないのだろうか。或いは朝になったら眠るのだろうか。

                    • -

世間の義務教育課程及び中等教育課程に身を置いている人達の半分は、今頃必死であろう事を想像する。一年のうちでも電気の消費がより激しい日ではないか、と予想する。絵と作文を書いていた記憶がある。絵は根気が続かぬので、画用紙四つ切サイズでも音を上げていた。下書き段階で満足する人の一人。そもそも画用紙が嫌い。消しゴムの効力を無碍にする点が、特に嫌い。旬の過ぎた林檎の食感に似ている。山羊の胃にはいいかもしれない。原稿用紙も升目の空白で隔てられ、文章なのに続いて見えない一字一字が嫌いだったが、今となってはあの升目と行間の空白、頁を隔てる余白が懐かしい。生活ノートなる作文帖の記入は得意であったが、まともな内容と構成の読書感想文を書いた記憶がない。今でさえ、模範を示せ、と云われたところで、評価される様な文を書く事が出来る気は全くしない。何を書いたら良いのだろうか。表彰された生徒に問いたい。
「はい、先生。山羊を描きに牧場に行ったんです。ええ、ちゃんと描いたんです。でも、山羊が食べちゃったんです。」(ピーナッツコミック風に)

                        • -

外にも出ず、早朝にも起き出さず、季節が変わった感覚なしに過ごしている。しかも殆ど何も進まぬまま、身体のだるさに任せて寝転び、本を読んでいる。何にも賛同しない上に、誰からも賛同を得られない。カレンダーを捲る為に、寝室に戻ろう。
秋だという感覚を唯一もたらしてくれるのは、焦りであった。

                • -

仔羊の巣 (創元推理文庫)』をむにゃむにゃと齧る。涙脆いらしく何かにつけて涙を流す坂木を見、坂木が虐められた、とわんわん泣く引きこもり探偵のしんちゃんが微笑ましい、と感じる自分が鬱陶しい。棘が刺さっている患部を撫でられている様な小説、という印象を持った。雰囲気に乗ってやわやわと読み進めたくなるものの、「否、そうでない」と思って欲しいのかしらん、と感じる突起にいちいち引っ掛かる(大人の話、という感じがしないのも、違和感のひとつ)。一体どう読んだら良いのだろうか、葛藤が起こったので途中で一旦放り投げておく事にした。それでも、一時間、と決めていた読書時間が、昼寝も含めて三時間に及んでしまった。いけないいけない・・