コルセット.

昨日の夕食後、ばたりと寝込み、例によって午前二時に目覚める。なぜか嶽本野ばらの本を読もう、という謎の気が起り(興り)、『エミリー (集英社文庫)』『ミシン』を読む。或るお洋服に出逢った事で世界が変わった、という話に少々うんざりしつつ延々と読んでいたら、朝になった。洋服と人との関わり合いに関する見解は、勉強になる。すっかり読んでしまった本を本棚とダンボールに仕舞い、七時、という朝ご飯の時間を待っていたらば、八の刻になった。朝食兼昼食は三時に摂った。

                      • -

母が或る時期から健康御宅になった。私立に通う娘の為かそれとも一家に余裕を持たす為か、あくせくと働き、タイムサービスのシール付の惣菜パックを携えてくたくたで帰宅していた頃の食卓が様変わりした。なるべく添加物の少ないもの、国産のもの、新鮮なもの、旬のもの、を買いこんで毎日ひと手間かけて作ってくれる。昨日は、うとうとする私の横で、食生活や食べ合わせについての本を自慢げに読んでくれた。日本食擁護派である。
目を盗んでお酒やお菓子を食べようとする父は、まるで母の子どもみたいに毎度叱られている。あなたのために云っているの。(この云い分で自滅しない事をいつも祈っている。)
母はずっと小学校の教師をしているので、声の張りが違う。耳に突き刺さるその声だけでも、天職なんじゃないか、と思う。細かい事は気にしないが、「いけない」と考える事に対してはとても厳しい。他の家の子は許してもらっているのに、私は駄目っていつも云われる、とよく心の中で嘆いた。ちなみにそれを口に出すと、じゃあ他の家の子になっちゃいなさい、とプロトタイプ的返答をぶつけられる。
今日の人参ジュースは美味しく出来た、と嬉しそうにしていた。ビール半分要る、と問いかけると、頂戴、という即答がかえってくるから、たまに摂りたくなるジャンクな食物の存在も、認めているようだ。コーラ類が好きだとかで、夏になるとコンビニに走らされる。
この人は一体、何を「張り合い」にして、何を背負って、今まで仕事をして生きてきたのだろう。そして娘って何だろう。