想像は雲の上に.

世の中は、私よりもずっとずっと早起きだと知った。
やたらと大きな魚ばかりが泳ぐ水族館の水が溢れる、という不快な夢を見た。魚に飲み込まれるかもしれない、水が汚いし塩辛い、という不安が、不快を催したのだ。

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時間はどうしたって前にしか進まないのだし、前を向いていかないと伸びていかない。
徐々に「前に進む事」の意義を見出していけば良いか。どうせ、どんな事を考えていても、生きていかなくちゃならない。

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飛行機が飛んで行った。遠くから見ているので、大層程良い速度と軌跡でのんびり飛んで行く。穏やかなものをずっと見ていたいが、そうもいかない。苛立つまでに騒々しく素早いものに「乗って」いなければならない時もある。…どこへ行くのだろうか、どこへ行きたいのだろうか、ビルの陰に消えるまで見ていた。
そらの見える喫茶店が好きだ。つまらない味のコーヒーチェーンでも、無料でそらを見る事が出来れば嬉しい。
テーブルに光が当たり何かの筋が幾つか見えた。鉛筆の類で書いた紙を裏返してまた書いた時、机に移る文字の筋だ。読めるようでなかなか読めない。ふっくらちまちました子どもの字だ。 布巾で拭いてもなかなか取れないこの筋を、消しゴムで拭っていた頃を思い出した。高校時代後半からは専らペンを使うようになった。こんな風に机に残ったり、指で触るとぼやけるのを嫌って。近頃は鉛筆を削るのが楽しくて、時々鉛筆を使う。HBという濃さはもどかしい(が過去に買い与えてもらったものがHBばかりなので、すっかり消費するまでは新たに買い足さない)。

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飛行機を追いかけて、勉強とは関係のない本を読んで、マグに入ったコーヒーを飲み干した。いざ勉強と思っても、音楽と人の話し声が耳について一字も読めないので、諦めて店を出た。ショッピングセンター内を一回り、そのうち「他の生き物」が恐ろしくなってきたので(前向きに見えすぎて)、建物も出てさっさと家に帰る。
鶏団子入りの米の麺、という即席のものにお湯を注いで啜ってから(やはり麺は固めのうちにスープを入れてしまうのが丁度良い)、本を引き続き読んでいく。微小のヴォリウムでかけているこのCDが終わったら仕舞いにするのだ、と思いながら読んでいく。嗚呼もう仕舞いにしよう、ここで読まずにおいておこう、と思う事数回、終に最後までその本を読みきってしまった。
抜け殻の思いで夕飯を食べ、抜け殻のままで寝台に寝転び、次の朝を迎えた。

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送金、を受け付けているサインがATMに出ているにも関わらず、休日用窓口にずらりと並ぶ人々の前で何度振込票を入れても、びーっと戻ってくる。マシンを換えて二度目で無事に吸い込まれていった。紙が湿っていたのか、マシンの方が湿っていて機嫌が悪かったのか。
休日でもやっている、と知っていて、平気な顔で人は、郵便局のほんの小さな窓口にやってくる。当たり前のサービスだとしても、少しは申し訳なさそうにするとか、平日で人手が足りている時間に間に合わせれば良いのに、そうすればこの局員さんも少しは家族サービスが出来て…と勝手な想像をするのが常になってきている。