生活臭に囲まれる.

「何となくだるい」(やる気のない)症状に効くドリンク剤か、一、二週間眠らないで済む薬品はないものか(そんなものは存在しない)、とドラッグストアに出掛ける。棚を一巡りして、ここに来る事さえ間違いである、とっとと帰って「気合」で勉強しなされ、と多種多様な瓶達に諌められたので、ガム一袋(憧れのプラスチックケースは高価だった)携えて去る事にした。ひたすら噛んで脳に刺激を送ってやろう。そろそろ大学に通わなければならないし、面接も入ってきているので、ちょいと奮発して髪の手入れ品を買っておかねば、という気持ちで、椿油やら今宣伝が盛んなトリートメント類を手に取る(ずっと切らしたままだった)。が、レヂに進んだところでなぜか、余裕も無いしまだいいや、という気になって引き返した。駄目な私、家を出る前に『ダメな女 (光文社文庫)』というのを読み返していたのに(まあ余興的な本だけれど)。
ジャージの客や、子連れの若い主婦が多い、田んぼの中のドラッグストアで、安直なパッケージデザインの入浴剤一箱やら、都会ではちょっと人目を憚って籠に入れる類の品を、気兼ねなくばこばことレヂに乗っける人を観察する。皆この地で生活している。
照明が無駄に明るいのも、気分が変わって面白いから、ドラッグストアは嫌いぢゃない。生活及び生活臭に対する強い肯定が、この業界の商売道具なのだろうから、たまには乗るのも良いか。