これで良いのだ.

父が会社から貰ってきた(貰ってきてやった、と父)芋焼酎を戴く。最近の芋焼酎は芋臭く出来ていないようで、他の焼酎とあまり変わらないくらい、嫌な臭みがない。が、ふう、と一息ついた時に、独特の芋の香が口の中を漂う。甘い。何杯も飲んでしまいそう、しかし飲んでいると眠くなり作業に差し支えるので、もう一杯だけ、水で割って戴いた。論文を読みながら、ちびりちびりやる。肴は、冷蔵庫からくすねてきたちくわ二本、猫のように咥えてもごもごしながら自室に上がった。幼い頃、おやつが無い時は、味付け海苔かちくわを、同様にくすねていた。丁度良い塩味で、そこそこ食べ甲斐がある。

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唐突に、カップヌードル(日清)が食べたくなり、わざわざスーパーに買いに行く。フリーズドライの海老は好きだが、卵は嫌いだ。麺とスープは、チキンラーメンより香辛料が利いていて鋭い。どちらかといえば、のんびりした味のチキンラーメンの方が好きだが、気分によっては、何だこのちっとも美味くないぬるい味は、と感じる。
学研か何かの付録で、このカップヌードルを「発明」した人の漫画を読んだ事があり、内容までしっかり記憶しているので、カップヌードルを食べる度にその人の苦労を思い出す。お湯を注ぐだけで出来る即席麺を何とか実現しようとしたその人は、夕飯の天麩羅か唐揚げだったかを見て麺を揚げるという工程を捻り出し、手で持って食べるというカップ麺のスタイルについては、機内食として出て来たカップ入りナッツをアイディアとして採用したらしい。
最初に考えた人は偉いよな、と云える一品である。
とろとろの半熟に仕上げた卵入りのラーメンが食べたくなった。カップ麺も良いけれども。ついつい時間がないと、昼食に御飯を用意する気にならない。三分と食べる時間十分で食事が済むなら、と思ってしまう。結局は如何単に用意すれば、同じ位の時間で済むのだけれども。
その気になれば生活上の丁寧さなんて、幾らでも割愛出来てしまう。妥協なんて簡単なのだ。それで良いのか、と思いながらも、他に重要視する事があるので、今はこれで良いのだ、という事にしておく。嫌だけれども。

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論文はどうなった、という電話が指導教官からかかってはこないか、と怯えて、携帯電話の電源を切ってしまった。一日電話が繋がらなくとも支障がない、というこの状況は、いかにも学生らしい。メールはPCの方へ自動転送に設定、倍速で返信出来るものだから、いつもより文章を沢山送ってしまうところだった。
ネットは、朝夕二回の二時間迄、と決めたのだが、メールチェックとCD編集、という雑用の為に一度PCを立ち上げてしまうと、延々とネット上を彷徨う事になるからいけない。もうお終い、と電源を落として一息、ちょっとだけ読書・・・と寛いでいたつもりが、気がつけば朝になっていた。一晩中起きているつもりなのに、一旦健全な時間に眠る癖をつけてしまうと、健全な時間に眠くなり、健全な時間数しっかり眠ってしまう。多少無理がしたい。

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日にちを見て「正しく」焦る為に、手書きで十月のカレンダーを作り、机の前の壁に貼っつけた。赤いバツ印が増えていくと焦る方式になっている。