作業机の上.

師匠からお借りした教則本を、一部コピーして糊付けし製本する事に、夜中を費やす。アール・ヌーヴォ飾り枠の図案集から、表紙の為にひとつ選んでコピーをかけ、それに合うフォントを探して枠に貼り、更にコピーする。こういう作業は本当に好きなのだな、という自覚がある。
教則本の一頁目を見ると、アール・ヌーヴォに合わせても悪くないデザインとフォントだった為、図案集が活用出来たが、なかなか他の事には活用出来ないで棚で眠ったままになっていた。しつこくなるのだ。アール・デコのカタログ、というのもあれば入手したい。
何度も云うが、こういうちまちまとした楽しみがあると張り切ってしまう。
そして、手紙を書く、という事にも、他の事を忘れて取り組む。便箋をびりびりやりながら、満足がいくまで何度でも書き直す。手が痛くなる事もしばしばある。書簡集を読んで、いつからか手紙の形態についての憧れが生じた。やり取りしている話題がすれ違っているようで交わっている、好きな事や書きたい事を書いているが相手の事を想っている事が分かる、そういう「書簡」に憧れる。相手に知らせたい事を知らせる、そういう存在である、と云って良いのだろうか。気持ちと考え方の伏目を迎えたある時期から、日記、随筆と共に、書簡集、というジャンルが好きになった。物語よりも生活から何かを見出していく方が、自分の今の気力や何かと合っているように思う。