頑固者の手仕事.

便箋と揃いの封筒と、切手を買い置く大切さを知った。切手は、気に入ったものは見つけ次第シート購入しておくのが良さそうなものだ。咄嗟に見に行っても趣味に全く合わないものばかりで、閉口する。

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茹で具合が好みに合ったパスタを出す店で昼食にするが、茹で具合は良いにしろソースが毎度旨味があり過ぎて濃く、後々罪悪感を抱く程満腹になる。日替わりよりも週替わりのメニューに魅力を感じて、きのこと鶏のホワイトソースにリングイネ、を注文す。案の定、こってりまろやか(「こてまろ」)で、食後のコーヒーはかんばつ後の雨水の如くに身体に沁みた。コーヒー無しでは生きていけない。
用事が済んだので帰ろうとした時に丁度、同輩から『のだめカンタービレ』の新刊が出た、というメールが入り、近くの書店に寄る為に引き返す。シャープペンシルはどうせあっても使わないから、通常版を購入してひとを待つ間に少しだけ読む。

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もしかすると楽器製作修行に渡伊するかもしれない、というひとの言葉を反芻しながら帰途をぽてぽてと歩く。クレモナ、という地名は「耳をすませば」という映画で初めて耳にした。
ひとりで生きていくのだ。

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お誘いを受けてはいたが考えあぐねていた、引退した部の後輩が主宰するささやかな演奏会に、なぜか突如出演する気持ちが固まった。丁寧に一曲、仕上げてみる気になった。論文作業があるにしろ、それだけでこの一年終わらせたくはない。
よって、楽譜探しに出掛けたが、CDも輸入楽譜も高価で、項垂れて店を後にした。一曲は、パガニーニの「カンタービレ」という曲にする。聴き易い上に作り込み甲斐がありそうだが、問題はヴァイオリンの技法と楽譜指示をマンドリンではどう置き換えていくか、という点にあり、鬼才の曲ともなれば余計に手ごわい。

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先日製本した教則本の残り部分をコピーして製本する。『のだめカンタービレ』でオーボエ奏者がリード作りに時間を割いている光景が見られるが、自分もきっと同じ立場になったら、やはり毎日黙々と美しいリードを作る質だ、そうに違いない、という勝手な想像で、どんどん分厚くなっていく紙束に糊を塗りながら、面倒をやり過ごしていた。
谷折りにした紙を一枚ずつ接着していき、最後に背に瞬間接着剤か強力な糊を乗せ、暫く重りを乗せて放置、接着剤が乾いた後に製本テープを背に巻く、という方式は、果たして有効なのか、以前製本したものは未だ解体の憂き目煮遭っていないので知らない。