首と肩が動かない.

この猫の顔は私のそれに似ている、と或る時画面に写る猫を観察していてふと感じた事があったが、観察を重ねるうちに、大抵の日本猫及びその雑種に私の顔の造作は似ているらしい事に気がついた。鼻から唇までのあたりが猫、と好きだった人に云われた事が、今頃実感出来た。
電車に写る自分を見つめて考えていた。多分、黒白で八割れの猫だ。「理想のタイプ」は黒猫か白猫か、靴下を履いたような色分けの猫、しかも足先手先の可愛いこだろう。 

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論文の中間発表の日、同輩二人が発表する。一人はほぼ毎日大学に通ってまめに積み上げてきた結果を素直に発表、もう一人は「作品を全然読めていない」とやり直しを云い渡された。自分はと云えば、どちらの発表でも焦りを募らせ、帰宅後覗いた受信箱に「予行練習をするように」と阿相教授から通達有り、すっかり寒くなってしまった。いやいやこれしきで線路に飛び込もうとしてはいけない。
カレーパンなんて、と思ってきたが、甘いものより尖った味のものを五百円以下で食べたい、と思ってドーナツ屋でカレードーナツを摘んだ。美味しいものばかり食べてきた訳でも、美味しいものしか口に出来ない訳でもないただの庶民であるから、文句を云わずに意外に美味しくいただいた。わりあい好みの味で、一口食べて安心した。冷えていたけれども・・・。
単純作業用に適した音楽を求めて、久しぶりにCDを購入す。単純作業といえども、何処かに「突起」のある様な曲は、緊張して今にも穴が空きそうな胃と焦りで萎縮する「思考」を刺激するばかりなので、聴いていられない。無伴奏かそれに近い声楽を回して聴いている。
今回買ったのは、NHK-FMの番組でゲスト出演していたピアニストのもの、イージーリスニング、というコーナーの棚に挟まっていたのを「発掘」した。「静かな音楽モンポウ、というスペインの作曲家の、うんと静かな音楽が入っている。
最後に一曲だけ入っている、アリアーガ、というやはりスペインの作曲家の曲が気に入り、次回の演奏会か何かの為に楽譜を作ってしまった。モーツァルト生誕のきっかり50年後同じ日に生まれ、20歳で夭折するまで早熟さを発揮した「小さなモーツァルト」も、今年祝ってあげるべき一人なのだそう。「ロマンス」という曲は優しくて可愛らしく、そしてどこかモーツァルトに似た輝かしさも含んでいる。