頑な.

早朝から履歴書を二枚書く。一枚書きあがり、手早く二枚目を仕上げて大学へ、と焦る気持ちからか、書き間違えが相次いで結局用紙を五枚無駄にした。大学名から学部学科、専攻を何度も書かされうんざりする以前に、押印が曲がって投げる。押印の良し悪しをいちいち気にする会社の方が、自分には合っている気がするのが面倒である。

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研究室の先輩に、貴女(本来は苗字に「さん」付け)が喋りかけてくれたり、寄ってくるのは、猫がすり寄ってくるのに似ている、と云われた。確かに、かなり気紛れな接し方をする上に、様子を伺って静々と近づく質だ。
愛想が良く正直な犬はとても可愛い。だが決して、哀しいかな、犬にはなれまい。いつ可愛がられなくなっても無事なように、都合良くふらふら、犬の鼻の前を歩いていく。
犬よりも猫の方がずっと臆病なのかもしれない。
と云うと、本物の猫に失礼だが。

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ああ、そうかね。そういうもんかね。
こういう心意気で生きていきたいものだ。

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モーツァルトに関する講演会を聴講、手帖一冊とペン一本、マフラー一本、「身一つ」を持参。手帖は、ここぞ、という活躍ぶりを見せ、鏡面の湖の様な著名評論家の声を受け止める。流された曲のメインフレーズも、ついでに書き留めておいた。
氏の弁を借りるならば「生きる喜びを我々に授けてくれる」モーツァルトは、未だ聞き込まない。聞く時期がいつか突然やってくる気がしているが故に。今は自力で足掻きたい。
帰宅後、交響曲第25番だけ聴いた。短調交響曲二つのうちの片割れである。冒頭に現れる険しい山が好きだ。