he’s cool.

約束の時間を、なぜだか大幅に違えて、手帖に記していた。13時、とこちらが書いたところは、相手のスケジュールには17時半と書かれており、結局どちらが正しいのか分からずに(或いは、年上への遠慮或いは気遣いからか)、13時、という事になった。恐らく、最初に、13時、という提案をしたもののその後で、やはり17時半にしましょう、という展開だったのだろう。無意識のうちのミスは恐ろしい。間違いの間違い、はよくある事ではあるが。
約束を済ませてから、楽器を修理に持って行く。楽器の修理はものの五分で済み、店の主人と少々雑談をした。大人でクールな態度に、何度も恥ずかしくなり、又閉店一時間前とあり長居は望まれていない空気に後押しされたので、早々にお礼を云って退散した。
飲みきった後鞄に入れたままで忘れていた、パイナップルジュースのパックに目をやると、逆さを向いていた。甘い匂いが、乾きかけてぺたぺたする感触と共に、指をかすめる。そろそろ鞄の洗濯時だと思っていたので、丁度良かったのだ、という事にする。がっかりしない。
写真集特集の『STUDIO VOICE』と、随分前に出た松浦弥太郎のロス特集『コヨーテ』を求めると、クリスマスプレゼントを贈られたような気分になった。何だこの、手の込みようと写真の美しさは(『コヨーテ』に関して)、しかし毎月は買う事が出来ない、なぜならその丁寧さは値段にぴったり比例しているから。
"On travel"、とは良い響きだ。
Mr.Fridayの今日の服装は、ベージュの無地のシャツに、赤と白の細かいチェック、黒いスーツだった。赤と緑のタータンチェックのハンカチをポケットから出して手を拭き、それをポケットに戻し、ぽんとポケットを叩く。ハンカチを持ち歩く人が好きだ、それは決してタオル地のハンカチではなくて。先週は、薄茶の大きなストライプ模様のシャツに、赤系統の水玉が飛ぶネクタイだった。