肝臓先生と私の肝臓.

そういえば、テーブルの向こうの端っこで飲んでいた人は、アンゴ(坂口安吾)が好きだと云っていたっけ、と小さな記憶の光る断片を拾いあげながら、渦巻く頭を振る。気分が悪いのか、途轍もなく空腹なのか、どちらだろう。朝食を食べに降りれば、食卓に林檎が上がっていて、それを咀嚼していると、気分が悪いのと空腹は半々だという事に気づく。水をがぶ飲みするよりも無性に林檎を齧りたくなり、母に、林檎丸ごと食べる事への許しを請うてみたものの許しは下らなかったので、大人しく脇にあったレタスを齧る。青虫朝食だ。
我が「帰巣本能」は素晴しい、と呟く。