結婚式の風景.

楽団でご一緒している方の結婚式ニ次会に行く。ドレスを汚さない為に、身繕いの手順を考える。よくもまあ、こういう時だけ頭が働くものだ。シャワーを浴びた後一旦部屋着をつけて顔と髪の手入れをし、伸びていた爪を切って、ドレスとコートをハンガーから下ろした後鞄にものを詰め、ドレスを着て化粧をして髪を整え、最後に上着とコートを羽織って鏡で確認、これだけで随分時間を取られ、ひととの待ち合わせ時間に三十分遅刻した。平謝りしたのも束の間、別れてひとりで電車に乗り込んで、他の団員の方と落ち合う。社交は大変だ。
会場がライヴハウスである事への疑問は、新婦さんはクラシック、新郎さんはロック、というジャンルの壁を飛び越えた音楽新婚夫婦である事を知ってから、自然解決した。三割クラシック、六割ロック、一割合同、という音楽の絶えない会だった。
前回ニ次会に参加した時はビンゴゲームで賞品をいただいたが、今回はクイズ大会のおまけ的くじ引きで賞品をいただいた。決して一等や豪華賞品が当たらないところが、いつも私らしいと頷く。
同年齢の男性が、俺も結婚したいな、と云い、え、そうお、と返すと、そう思わへん、と云うので、何も云えなくなる。だって、一月の準備を九月からして、幹事さんもずっと大変そうで、ドレスも物凄く綺麗で、クイズの賞品もかなり豪華、そういう風に考えると、結婚するのも大変なんや、と私は思うけどな、とは云わずにそのかわり、そうやねえ、と云っておく。その後、誰と誰が付き合っていて、という話を大人しく聞いていたが、気になる彼の現状については、話したくも考えたくもない様子だったので、放っておく。そこが肝心なのだが。

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結婚の近い団員の方の薬指に、その辺で見かけるのとは全く別の光が見え、皆で覗き込む。婚約指輪は遠慮せずに買ってもらった方がええで、とおっしゃるのは何故か知らぬが、ふんふん、と頷く。

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ニ次会メンバーのニ次会に行かず、会場でもお酒二杯で止めた自分に、よし、と云った。しかし、ジン・トニックにするかウーロン茶にするか、迷った挙句ジンにした点については、詰めの甘さを否めない。