消えない火.

火事の夢ばかり見ていた。何のつもりだろうか。
コンロから上がった火が、どうしても消えない。毛布をかけても座布団を出してきても消えない。家も燃えていた。
炎はリアルで、コンロの火は青かったり赤くなったり、橙色だったりと変化したが、いずれも透明な炎だった。
消えてくれなくては困る火だった。

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「男性ってのは、会いたい一心でこちらが何とか時間のやりくりをしても、当然の如くいとも簡単に、無理だわ、と約束を覆したり、今から出られる、と夕飯時に連絡して来たり、こちらを暇人扱いするのだ。(こん畜生)」 ロングコートの裾を足に巻きつけて、午後六時の喧騒に目をやる。「無理なのだったら、最初から約束なんてしなきゃ良いのに。(期待するじゃないの、馬鹿)」
結局報われずすれ違って行くのは、男女の性なのかしらん。