堪らない事.

日にちの感覚はあるが、曜日の感覚がない。待ち合わせの為に駅のロータリーに腰を下ろしていた先日の午後、隣で老夫婦が何やらお食事中だった。奥様の方が、今日何曜日、と三回も旦那様に尋ねていた、その鬱陶しさが(もうこれで六回目やで、と旦那様)、人ごとでは無くなった。

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“Coffee and Cigarettes”(「コーヒー&シガレッツジム・ジャームッシュ監督作、アメリカ) という、短編が寄り集まった映画を観た事がある。こんな不健康な取り合わせのどこが良いのか、分からないけれども、健康を気にして煙草を吸わない自分の目には、どことなく羨ましい生活に映った。この取り合わせを「直接口から」楽しむ事が出来ない自分の楽しみと云えば、コーヒー及び煙草好きの人から香る、それらの混じった匂いである事に、気がついた。耳にぼわあと息を吹きかけられた時と同様の、精神的くすぐったさと、肉体的快感を得る。

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呆気なく『使いみちのない風景 (中公文庫)』を読み終わってしまった。文章を読み進めたい速度と、写真を味わいたい速度が全然一致しないので、読み終わったと云ってもすっきりしない読書であった。