痛み、だけでも感覚を.

入社採用試験以前の、コンサルタントによる事前説明、というまどろこしいのだか気軽なんだか、という機会に呼び出され、早朝から電車に乗り込む。
電車賃を浮かせる為に遠回りをしたが、私鉄は空いているので快適度は高い。が、先日から隣席の客に恵まれずに困っている。先日は初老男性の整髪香料、今日は女性だがムスクの様だが単調でやたら鼻にすうすうと入ってくる香が、空に近い胃に来た。横を向きっぱなしの首が痛い。
応募した会社の説明よりも、今の就職活動環境や通り易い書類と面接での発言について語られる。こう云えば印象が良い、という事ばかり云って入社し、そこで働く事の出来る自信がない。しかし、私の正直さでは、内定は貰えない。これからのやる気さえあれば、等という言葉は、今まで、がなければ証明出来ないのだ。
きれい事に疲れた。
或いは、甘く育ち過ぎたのかもしれない。嫌いな事から逃げているのか、それとも、てきとうには済ませる事が出来ないのが分かっていて尻ごみし過ぎなのか。

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愛情生活』を引き続き、読む。長い間鞄に突っ込み、取り出してまた仕舞う、を繰り返しているので、紙のカヴァアが擦り切れそうになっている。
洗濯物入れからはみ出した靴下、半開きのドア、天井に向かう風景、どれも生々しい。本には載せられていない、セックスしながら撮られたヌード写真よりも、多分。