瓶の中の果実から見た世界.

今日はなかなかよくやった方だと思う。褒美として少しばかりのお酒を与える事にした。
コーヒー一杯で止めるかどうしようか、と道を行ったり来たりし、結局甘くはないものと滲みるものを摂りたい、と心を決めて、お酒を置いているカフェに入る。芋焼酎中国茶割りと、香草を衣に仕込んだ鶏の唐揚げを注文した。花の様に開いた茶葉から立つ清々しい香りと、芋の程よい甘さと独特の臭さ、噛めばじゅっと口内に広がる肉の旨味に満足する。カウンターに置いてある色とりどりの果実酒の瓶を覗き、美味しそうですね、と云うと、今度飲んでみて下さい、と返ってきた。宵の口から肴と強いお酒の一皿と一杯空けて読書をしていく、謎の客と化してしまっている。

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昨日花見の最中、ずっと首に巻きつけていたストールが、ひどく焼肉臭く、閉口する。
大寒波の中の花見翌日とあって、社員はどんなにか草臥れ気味であろう、と出社してみれば、前日に比べて皆なぜか機嫌が良い。やっぱり飲まなきゃいかんね、と高血糖値部長、皆さん昨日はお疲れ様でした、と胆石支店長、お二方とも元気である。
本格的に暇になってきたので、自分の机だけでなく手近な机まで雑巾がけしてみたり、コピーに失敗した紙を刻んだり、カッターナイフで細かい手さばきを周囲に見せびらかしたり、兎も角やる事を自分で作る。結果として、掃除の後の気持ち良さと、誰もしないが誰かせねばならない事が出来た自己満足、適度な疲労が、雑巾を引いたり押したりしていた両腕に残った。水と紙で乾燥した手は、好ましい香りのするハンドクリームが癒してくれるし、身体は後の「ご褒美」で直ぐにも快復出来よう。
社内を盛んに歩き回ったり、見慣れない事をしていると、応援の声や興味を投げかけられる様になってきた。存在を無視されない事が、一番有難い。

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ホワイトリカーに漬けられている果実から見た外は、自分自身の出した色--赤や黄金色--をしているのだろうか。