喫茶店又は宵の酒場.

会社近くの喫茶店に、先日のとある「お詫び」の京菓子を持って行く。菓子を差し出して散々謝り倒すつもりだった。が、コーヒー一杯を注文すると、バタ付きパンが出て来て恐縮する。フランスパン独特の頑なさに加えて、「もっちり」とした食感がある。果たして本場のフランスパンも多少は「もっちり」としているのだろうか、知らない。少々しつこいと感じるガーリックトーストよりも、バタ付きパン、という至極単純な食べ方の方が、自分の嗜好に合う様。
何度意図的に脱線させてもお酒の話になる日だった。仕舞いに、酒瓶混じりの棚から小瓶が取り出される。小瓶の底から1センチ程残った、その琥珀色の液体はコニャックで、飲む、とマスターが訊くので、宵の口から飲酒する羽目に相なった。ショットグラスに分け合い、一口で飲み干す。甘い。
結局何しに来たのかよく分からず、480円だけ、年季の入った飴色のバーカウンターに置き、去る。有難う、と共に、すみません、と云うマスターには毎度恐縮する。すみません、とはそういう言葉なのだ。