エゴ対エゴ.

身に添う服が好きで、たぽっとした形状の服はまず選ばない。そういう類の服を扱う店も、しれっと通過する。どこでも良いから自分に寄り添っていてくれないと、服に見放された気になる。これが良い、と思いたいし、貴女が良い、と思って貰いたい。

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秋服、というものを、これまで保持して来なかった為に、ここ数日毎日白いシャツを一枚、ぴっちりと纏って仕事に出掛けている。就職活動時に着まわしていた四枚が、役に立っている。三月中頃に就職し、今は中弛みの時期の様な気がするので、適度に緊張感をもたらすシャツが丁度良い。しかしこれ以上寒くなった場合、上に何を着るべきかで苦悩している。カーディガンはラフ過ぎるし、スーツのジャケットでは肩が凝る。店を回る時間が出来るまで、何とかシャツ一枚で持ちこたえたい。ストールでも首に巻いて凌ごうかと思っている。
秋物入荷しましたよ、と顔見知りの店員からカードが届いた。封筒を開けた瞬間、肉桂の香が鼻を突き、むせ返った。世間はすっかり秋である事を、鼻の奥まで思い知らされる。食欲の秋、読書の秋(古本の匂いと肉桂の香は若干似ている)、芸術の秋、それらは今年はお預けである。洋服代も資格講座代に消えそうであるが、今のうちに質の良いものを一、二着確保したい。

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人生で初めて、「合コン」なるものに誘われた。返事のしようについて考えてみたところ、行く意義が見つからない事に気づいた。今までは興味本位で行ってみたい、一度経験しておくのも良いか、と考えていたのに、実際身近に迫ると不必要だと切り返した事に、少しばかり驚く。或るひとりへの気持ちを胸に宿した状態で、複数人の牡の前で牝を多かれ少なかれアピールする、という器用な技を、自分は持ち得ないのか或いは、単純に面倒臭いのか。人に対して潔癖という訳ではないから、きっと不器用で且つ面倒臭がりなのだ多分。
いい人がいたら一生懸命になって引かれるだろうから、やめておく、という返事は正直過ぎるだろうか。