あ・うん.

学生時代はよく来たが、働くようになってからは足が遠のいていたカフェに来ている。
その地には、約半年毎に行く機会がああるので、年に必ず2回はそのカフェに寄る。期間を空けていくものだから、コーヒーを、と云うと当たり前だがミルクが付いて来る。週に二回位の高い頻度で通っていた頃は、ストレートで飲むのでミルクは不要だという事をマスターの奥さん(飲み物担当)はご存知で、ミルクはいつも出てこなかった。
今日は1ヶ月と少しぶり(といっても、近くの書店でイベントが開催されていた所為か、満員で入れなかったのだが。そのカフェと殆ど「セット」の様な有名書店がある)、という比較的短いスパンで来る事が出来た。いつもの豆板醤入りベトナム風チャーハン大盛り(と云わずとも大盛りで来る)を平らげ、コーヒーをいただいていると、ふと、今日は「コーヒーカップの小さき相棒」が不在である事に気づく。思わず、目を見開いた。確かに、ミルクがない。
私の事をもうとっくにお忘れではなかったのですか。それとも、キリマンジャロにはミルクを入れるな、という事なのですか。それとも、それとも。
嗚呼、時間だ。

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眼鏡をかけていなかった所為かしらん。
ものをはっきり見たい日は眼鏡をかける。鏡の前に立ってみて、眼鏡があった方が良いと感じた時も、かける。
今日は、見たくないものは見えない方が良い、という心情だったので、眼鏡をかけないで出た。今日は知り合いに会わない。視界の中で、私は。

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手作りの美味しそうな焼き菓子を、寄った店先で見つけたので、贈り物用に包装してもらってひとにあげた。材料等が手書きで書かれていたのを見て、私の字かと勘違いしたひとが、わざわざこんな手の込んだ事有難うね、と云う。確かに包装には拘る性質で、手書きのカードやシールを添えたり、何やら思いつきで加工してくっつけたりする事はよくあるが、いつもは何の反応も返ってこない。
今回は違うよ、と指先で呟く。口の中が苦い。胸の奥がじくじくする。