闇の海.

uopus2009-03-22

未だ「昼間」と云える時間なのに暗がりがやってくる天候が好きだ。図書館へ行き暫く後退出すると、完璧な雨の世界がやって来ていた。春先の雨は、まだ湿り気が少なく、肌も鼻も潤わない。春の予感を含んだ匂いが、胸のうちに潤みをもたらす事はあったとしても。寒々しい上に中途半端で鬱陶しいのが春雨だと決めてかかると、この季節は少々憂鬱しく感じてしまう。
図書館から借り出した本を読むには少々暗いが、目に突き刺さる様な蛍光灯を昼間から点したくない。何時かのお土産の和風ランプを点すと丁度良い光量になった。美濃土産で、シェードの部分に手漉き和紙が使われていて、電球から伸びるプラグをコンセントに繋ぐだけの、簡易ランプである。手軽な上、和紙からこぼれる光が何ともやさしげなので気に入っている。
電球の橙色の光が、炎の様にゆらゆら揺れる幻想を抱いて茫としているうちに眠気に襲われた。まどろんでいるうちに周囲に夜の帳が下りてきて、結局本格的に部屋に闇が訪れるまで眠り込んでしまったので、読書出来ず仕舞いであった。
本棚に入りきらないで床に置いたカゴの中に入れたり積んでおいたりしている。その丘の上に薄い闇が訪れた時、海の底が現れる。居るはずのないサカナ等を追いかけているうちに、いつの間にか逆に睡魔に捕らえられてしまっているのだ。