ex machina.

空調を付けたり消したりしながら、ぼやりと暖まっていくシーツの上に座り込んで、『SWITCH 25ー9 特集:HASYMO/Yellow Magic Orchest』を捲る。昨日、書店で見つけて即レヂに運んだ。 この「三人」を、YMOとして待ち続けていたのだが、中身を開けてみれば違う…

らっきーからあ.

リノベーションしたビルに入っている、若手美術家や芸術全般の書籍、作品、雑貨を扱っている書店内イベントスペースで、持ち寄り古本市が開催されていたので、講習終わりのすこぶるだるい身体を引きずって見て回った。四箇所中一箇所のブースで三冊程購入し…

シャツの穴.

ピンク色のポロシャツを着た4、50代の男性を時々見掛ける。どういう気分でその色を選ぶのか、見かけては毎度想像してみるが、あまりにも未知過ぎて結論が出ない。ピンク色、とは一体どういう訳なのだろう。 そのピンク色のポロシャツに、穴が空いている。…

放っておけ.

会社のお客さんから電話を受け、社外に呼び出されたが時間通りにつけず、しかも場所も知らない為に、見知らぬ土地でパニック状態に陥る、という悪夢を見た所為・・・ではなく、単なる前日の夜更かしの所為で起床が遅れた。 鞄と服の準備をしているところへ、母…

炭酸の弾けるとこ.

残暑のバザールといえば硝子器か清々しい生地の座布団で、ふらりと店を覗いてみれば、肝心のものは手垢塗れで諦めるも、果実酒キットが目に留まった事を喜ぶ。 焼酎もしくはジン等のスピリッツを、予め必要分の氷砂糖と果実の入った瓶に注ぐと、たった四日で…

気まずいふたり.

夏の写真集1.未だ緑の紅葉は涼しげであったが、その葉の隙間から漏れる光が何とも、悩ましい程に暑苦しい。 - 涼を求めて山の中の川へ、両親に連れられて出掛けた。 こう暑くては同じ様な計画を立てる人が多いらしく、バスは当然の様になかなかやって来ない…

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近頃の朝食は、食パン一枚は食べきれない私の為に母が買ってくれた、長いパンを二切れに、大甘党の祖母(母の母)が初夏の梅で作ったジャムである。幸せな皿。

堅気の生活.

資格取得の勉強に専念するか、勉強と楽団での活動を両立させるか、について、ここ数日頭を悩ましていた。練習に参加出来なくはないし、それなら演奏会にも何とか頑張って参加しよう、とは思う一方で、資格取得は必ず果たさねばならず、不合格となる要因は出…

抗えない事実.

楽器を買い換えたので、普段の基礎的な練習に加えて、楽器の性質を把握する作業に忙しい。レッスンの半分近くは、その作業で終わってしまった。分不相応な楽器を手にしてしまった印象は拭えないが、手なづけていくのは面白い。 基本的に、身体と楽器に自然に…

消えて無くなる前に.

カップが買えるカフェに、間食とコーヒーではなくカップ目当てで入る。視線を外せないカップが一客、二客、しかしよく考えてみれば、カップを収める為の棚なり抽斗なりが、自宅にはもうない。彼のひとの家に持って行くのはどうだろう、と考えるも、それを「…

走れ、幸運.

グロテスクで悪趣味なものも好きだ。蝶というより蛾ではないか、と思えるブローチを選んだ。紋までしっかり描かれている懲り様、派手で美しい色味が余計に毒々しい。悪趣味を自嘲しながら、楽器のケースに止まらせた。 - 久しぶりに古都のバスに乗り、車窓か…

しめしめ.

台風が迫ってきているから、というだけで、女性に早い午後に帰宅指令が下った。外は、通常の雨降りの日、という具合で、天気予報をネットで調べてみても、雷注意報、という「ざこ」な報しか出ていない。まだ仕事がしたいのに、と思いながらも、地元に入る前…

人の潤み.

湿気が増し、どこもかしこも、結露と発汗の世界である。生き物の放つ熱で、世界は潤む。電車に乗れば、薄い水の服をぴったりと纏っている様な感覚に襲われる。どこに行っても水の気配を感じる。 - 仕事の後、重い鞄を抱えて、資格学校に乗り込む。ノートを取…

喫茶店又は宵の酒場.

会社近くの喫茶店に、先日のとある「お詫び」の京菓子を持って行く。菓子を差し出して散々謝り倒すつもりだった。が、コーヒー一杯を注文すると、バタ付きパンが出て来て恐縮する。フランスパン独特の頑なさに加えて、「もっちり」とした食感がある。果たし…

その道.

仕事で時折耳にする言葉が美しい。 蝶番、は「ちょうつがい」と呼ばずに「ちょうばん」と呼ぶのが残念だが、泪目(なみだめ)、鬼目(おにめ)、等細々とした道具や器具の名前が、時々耳を潤す。 雑巾吊り(ぞうきんづり)、という部位があるのだが、何度説…

大河幻想.

先立つ理性に感情がついていかない。 理性で以って、その時出来うる限りの正確な判断をするも、その判断結果に後々感情が納得してくれないのだ。感情がオーバーフローして、理性の冷静さ、冷徹さを責めたてる。けれども事態は覆されない。もうどうにもならな…

葱に涙す.

魔性の楽器に出会ってしまったので、今まで使用していた楽器を手放す事にした。使用しなくなって放置しておくと、どんどん質が落ち、音も鳴らなくなる為である。今必要としている人のところでうんと活躍する事を願い、断腸の思いで楽器店を後にした。ほんの…

面白きこと.

電車の窓辺で頬杖をついていると、ゆっくりとすれ違っていく電車で同じく窓辺に頬杖をついている何人もの観客の顔が見えた。 人から覗かれる心配がない、とあってか、各々比較的正直な顔をしている。疲れた顔からアンニュイな顔、窓の外に好奇心を抱いている…

「私の絶望」.

F.Vinaccia 1891 絶望する程嵌り込んで、終には連れて帰って来てしまった。名前はDante、取り急ぎ。 ごちゃついて目の前に投影されているは街中の風景でなく、毒々しいまでに混沌化した我が心象か、と思える程だ。紫色したゼルか、はたまた戦闘機の様な格好…

カスケィド.

勤務先が二府先にあるので、車窓からは色々な天候を窺う事が出来、天候が不安定な季節は意外に楽しい。自宅ないし会社を出発した時と、車中、下車後で天候ががらりと変わる事も、ままある。 今日は一瞬、車中から滝が見えた。 或る駅での停車中に豪雨に見舞…

手の鳴る方へ.

手の鳴る方に歩いていけば、一日は終わる。

一日限りのサボタージュ.

胃がそれ程強くない者には、酒に肴は必須であるらしい、と呟きながら、一日横になっていた。具合は大して悪くないが、起き上がって活発に活動するには、体内に憂鬱が充満し過ぎていたので。

星に願った.

星に願ったあの人は、やはり来なかった。 - それでも私は私らしくあれた。 - この間買ったワンピースと楽器の音は概ね「好調」である。

指の間のすり抜け方.

ヴイ字よりも丸首が似合う、という事を発見し、ついでに初めて黄色がかった服を購入した。 扱われている服の対象年齢が何十年か上を行っているものの、店員との会話と品物の生地が気に入っているので、バーゲンに行ってみた。楽しいが、買おうと思う服があま…

ぱぴおんの行く末を案ずる.

猫によく遭遇し気分を良くする。にゃあにゃあ、と呟いては猫達を無闇に追い駆け、結果虚しく冷たくされる事に、である。自分が相当可笑しい。 大学に寄り、盆地特有の熱気と湿気の塊を浴びながら楽器を弾いた後、照った顔で電車に乗ると、蛾も顔に留まる。蝶…

鈴カステラワルツ.

鈴カステラが、妙に食べたくなり携えて帰る。お皿にぽろぽろと取り出して、指でくるくると回してひとつ、口に運ぶ。時折摘んで、固さ或いは柔らかさを確認してみたりもする。一体誰が、小さいサイズのカステラを鈴の形にしてやろう、と思い付いたのだろうか…

ふらふらとあがる湯気.

会社から突然、「宅地建物取引主任者資格」略して「宅建」を取得せよ、と指令が下ったので、同じ様に白羽の矢が立った(この言葉は、良い意味を含む文章で使用するには不向きだと思う)同僚と共に、予備校の梯子をする。どの学校も、一生懸命説明して見積り…

流行通信.

二週間余りの長い取り置き期間を経て、やっとワンピースを回収に行く。改めて見つめると、そのワンピースを着て町を歩いている自分が想像出来ない程、今までの服装からかけ離れているが、一度試着した時の印象を信じる事にして引き取った。フランスの何十年…

眠気を誘う音.

出勤前の習慣で、早朝に目が覚めるものの、休日と分かり更に雨の音を聞いていると、二度寝三度寝、と再びずるずると眠りに引き込まれて行った。こうして昼近くまでずるずる行ってしまうと、一日中ずるずる眠いまま過ごさねばならなくなる。しかし、果てしな…

檻に入れるか.

梅雨の中日、外出には丁度良い位の曇り、を見込んでいたところ、暑いと感じる程に晴れてしまったので、動物園行きは急遽中止にした。カフェで昼御飯を食べてゆっくりし、お互いの買い物にお互いを付き合わせながら帰途に就く。 予てより疑問であったお金の使…